芸術家やクリエーターに『安定』は必要なのか?問題

演劇コラム

私のブログでは主に演劇などのエンタメ分野に足を踏み入れても、

どんなに活動していてもまともな報酬を得られず、その経済的な事情から活動を断念したくなる人が後を絶たない・・・、

そんな人を減らすためにここはマインドを変えてみて、
これらの活動を先ずは「副業」である、もっと割り切るなら「人生を充実させるための趣味」と捉えてこちらからの稼ぎは期待せずまた別の事業を始めて、個人事業主としてお金を稼ぎつつ活動をしてみてはどうでしょうか?と主張しております。

特に演劇の分野は多くは他者の作った都合に合わせなければいけなくスケジュールが予測できない、不安定なためまともな稼ぎが得られる正社員になるとそちらの活動を優先することは難しいです。

かと言ってそのスケジュールに融通が利く仕事だとたいていはアルバイト、給料は少ない立場の仕事であることが多いため、これだとまさにいつまで経っても経済的には不安定なまま過ごさなければいけない、そうなるとやがて精神的にも不安定になってギブアップしてしまうことも珍しくないでしょう。

スケジュールに融通が利く上に給料も上手くいけば大きな稼ぎを得られる・・・、

この条件を満たしてくれるのは、
就職する、雇われる身にはならず個人事業主として働くのが適切である、

こういう結論を出すことができるわけですね。

もちろん演劇分野だって成功すれば大きな稼ぎを得られる可能性を秘めていて、実際にそんな境遇になれた人を見て、憧れて目指すのでしょうがその可能性は思っている以上に低く、ただ活動していけば良いというものではない、だからそこ一点に賭けるよりももう一つ保険として考えておくべきだと私は考えております。

その可能性の低さについてはこちらの記事を参照してください↓

俳優・声優志望者が越えなければいけない3つの壁

 

売れない俳優・声優やミュージシャンは貧乏である・・・このイメージを覆していく、上手くやれたらそんなことはないということも訴えていきたいですね。

そこは解消されたら長期的に続けることが可能です。この長く続けるというだけでも成功する確率をグンと高めてくれます。

そのためにも経済的な不安の解消は不可欠なことでしょう。
やはりそこが大丈夫であるという人はそれなりに長く続けることができます。

私の周りも、
実家が太い、お金持ちである
確かそんな人達が今でも演劇活動をしております 笑

しかし、それだといつまでも両親はいないわけですから自立するためにもそこには頼らなくてもやっていけるように準備していきましょう!

・・・が、今回の本題はそこではありません。

タイトルの通り、
果たして広義にアーティスト・クリエーターと言われる人達に『安定』は必要なのであろうか?

という問題です。

最初にこんな話をしておいて、
次にはなんで真逆のことを言っているんだと思われるかもしれませんし、

本人からしてみれば『安定』というのは長く、精神的にも穏やかに活動していくためには必要だとは思います。

が、
芸術的な作品、人々の心を揺さぶる作品というのはそんな環境から生まれるのであろうか?

と問われたら微妙なところであるとは言えるのではないでしょうか?

経済的には安定している・・・
それを手にしている状態であるということはいわば「逃げ道」がある状態とも言えます。

これがヒットしなくても、お客さんに受けなくても「まぁいいか。だってお金には困っていないんだし

そんな心境に陥ってしまう事もなくはありません。

そんな心意気で作ってしまったとしたら、それは後世に語り継がれる、賞賛を浴びる作品になり得るでしょうか?

それよりも、
俺が生きていくにはもうこれしかない」など後には引けない、崖っぷちに追い込まれている中で作り上げた作品の方がその「覚悟」が注入されているのでやはりそんな死に物狂いで作ったものは何かしら胸にくるものはあるはずです。

ある小説を読んだ時に色んな意味で衝撃を受けたことがあったのですが、
その作者はデビューするまで日雇いのアルバイトで食い繋いでいた、漫画喫茶で原稿を書いたなどかなり苦労した背景があったらしく、

そんな窮地から書き上げた作品かと慄いてしまいました。

最初は「趣味のつもりで気軽に」とも書きましたが、まさにエンタメ分野の大半は本来は「趣味」でやるものです。けどその「趣味」を常人ならぬ迫力で取り組むからお客さんをあっと驚かせて、ビジネスに繋げることができるのです。

そういう意味では本当に「趣味」の範疇に留めていたら、これまたいつまでも成功は成し得ないでしょう。

このバランスはなかなか難しいと思います。

実は似たようなサンプルを比較できたことがあります。

別の仕事をしながら音楽活動をしているバンドと、
音楽の世界で売れたい、もっと有名になりたいと野望を抱いているのであろうバンドのライブを観たことがあるのですが、やはりそのステージ上での「気迫」は歴然だったと思います。

ちなみに技術的にはそんな差がなく、楽曲のクオリティではむしろ前者の仕事をしながらバンドをしている方が個人的には好みでした。

でも、それを生で演奏するとなった時には後者の方が視線を釘付けにされたのは事実です。前者の感想はライブではこのくらいのパフォーマンスだったら「家で聴くだけで満足かな」なんて思ったりしました。

このようにどれだけその活動に想いが入っているかで、たとえ作品の質としては優れていても胸に響かない場合もあったり、最初はあんまり好きじゃなかったけど応援したくなったと心が変わることだってあるのです。

こうなってくると必ずしもその経済的な安定が良い方に作用するとも限らないと言えることができると思います。

それでなくても、
売れた途端になんだか魅力が無くなった、つまらなくなった、

って人も一人くらい心当たりありませんかね?

売れるまでは必死に活動していたけど、売れ出したらその本業よりもタレント活動に力を入れ始めたり、新作を作らなくなってすっかり調子に乗ってしまったなど・・・😓

これもやはり地位を手に入れてしまったが故のおごりではないでしょうか?

人間というのはひた向きに、一心に努力している人を応援したくなるものです。

またエンタメ分野というのは、
演者が苦しみながらもベストなパフォーマンスをしようとする姿に観客は湧きます。

スポーツだって実力が拮抗している者同士の方が試合は白熱しますよね。

ただ強い者が弱い者を痛ぶっているような試合などさほど興味がわきません。

演者がギリギリのところで戦っているからこそ、終わった後に惜しみない拍手が送られるのです。

その苦しみは感じられず、余裕ある所で戦っていても大きな感動は生まれないってことですね。

アーティスト・クリエーターは売れてしまうと駄目になってしまうことが多々ある、

このような危険もはらんでいるので「経済的安定」はどこまで必要なんだろう?と疑問に思ったお話でした。

もしも「有名になりたいから」「お金を稼ぎたいから」

そんな動機でその道を進んでのであればその人はそれを手に入れたら目的は達成されたわけですから、以後モチベーションを高く保つことができずにやがてフェードアウトしていくのではないでしょうか?

そうではなく、
「作るのが息をするように好きだから」「お金とか有名になるとかには興味がなくそれが好きだから続けている」

そんな気持ちの方が強い人が末永くその分野に居続けることができるのではないか?

最終的にはどれだけ向上心を失わず活動を続けることが出来るのかが分かれ目のような気がしています。

皆さんも「何のために活動をしているのか?」を定期的に考えてみるのがいいと思いますね。

では今回は以上になります。ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

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