現役の俳優・声優がその志望者を指導するという構図って実はおかしいことである?

以前「現役の俳優・声優が指導をします!」という宣伝文句をする学校、養成所の落とし穴についての記事を書きましたが、

現役の俳優・声優が指導をします!という宣伝文句の落とし穴

今回も似たような記事を書きます。

 

いきなりですが、

こうすれば絶対にあなたも稼げる!

みたいな宣伝文句の情報商材が溢れている昨今ですが、これはよく考えたらおかしな商品なのです。

「だったらそんな有益な情報、誰にも教えないで自分だけの秘密にすればいいじゃん・・・」

と冷静な人であればツッコミたくなりますので・・・😓

そうなんです。わざわざそんな商品を売らなくても「絶対に稼げる」ならその売ろうとしている本人がそれを実践してお金を稼げれば良いじゃんで終わるはずなんです。

それをせずに敢えて売りたがるということは・・・そういうことなんですよね。

さらに冷静にツッコミを入れるなら、ビジネスというのは利益を得られる人は少なければ少ないほど良いわけです。人数が少ないほど自分に分配される金額も大きくなるので。

もっと言えば競争相手も少なければ少ないほど良いわけですよね。

飲食店の移り変わりが激しいのは競争相手がたくさんいるからです。膨大な選択肢の中からうちの店を選んでもらわないといけない、そのための努力は並大抵のものでは済みません。

 

さてこの前提のもとに立てば、

現役の俳優・声優が志望者を直接、指導します!」という宣伝文句もこういうツッコミを入れることができます。

わざわざなんて競争相手を増やすようなことをするの?」と。

それだけ人材を必要としているから?

いいえ、だったら逆です。

人材不足なら現役の俳優・声優が志望者を教えている暇なんてないはずです・・・。

 

とはいえ「後継者の育成」というのも大事なことですので誰かがやらねばなりません。

そういう立場の人というのはやはり第一線からは退いた方ですよね。

つまり、志望者に教えるなら本来「現役を退いた方が教える」のが正しい在り方なのではないでしょうか?

スポーツが分かりやすい例です。最近は年齢的にまだ現役でもおかしくないくらい若い年齢のコーチもいますが基本は引退後に指導者への道へ行きますよね。

が、この世界に定年、明確にこのくらいの歳で引退であろうという境界線というのはありません。

あの80歳を超えている野沢雅子さんも未だに現役です。

これが意味することは、

必要とされているなら、健康であるなら何歳になっても現役でいられるのが俳優・声優業なのです。

現に野沢雅子さんは一日限りの特別講師としてならもしかしたらどこかの学校などで講師をしたことはあるかもしれませんが、基本的には学校や養成所で毎週、教えている立場にはなっておりません。

彼女こそ後継者を育成する立場という意味では相応しい人物はいないと思うのですが、未だに現役なわけです。

 

演劇界、とにかく何かと理由を付けて教えたがる人はたくさんいます。

「これまでの私の経験を若い人達にも伝えたくて・・・」

みたいなことを言う人が多いのですが、その人の経歴を見るとまだ10年くらいで、確かに10年も経験を積めば後輩にも教える立場にもなることもあると思いますが、ではなぜ野沢雅子さんは未だに後輩に教える立場になろうとしないのでしょうか?

もうお分かりだと思いますが、

この世界で必要とされていない、仕事が少ない人ほど誰かに教えたがるのが演劇界なのです・・・。

先ほども申しましたが、

志望者に指導をするって「競争相手を増やす行為」です。

そして、

本当に価値あるものなら誰にも教えず自分だけの秘密にすれば良いのでは?

となるわけです。そうすれば得られる利益を独占できるわけですし。

せっかく上手い演技をするための技術を苦労して取得したのなら「それを簡単に教えるわけにはいかない!」となっても良さそうなものですが、

それどころかネットで軽く調べただけでも「指導します、教えます」というページがたくさん出てきます。

ちなみに私も一応、質問があればお問い合わせフォームから受け付けていますし、これまで学んできたことの概要を各カテゴリごとに分けて無料で公開しています。

私の場合は第一線からは退いたのもありますが、それでもむしろやはり現役であることを強調して宣伝している人の方が多いかもしれません。

なんでそんな教えたがる人がたくさんいるのかというと、

端的に言えば暇だからです 笑

当たり前ですが作品出演の方で忙しいなら教えている暇なんてありません。毎週、定期的に教えている暇なんてありません。

それができるということは作品出演の依頼があまりないからそんな事ができるというわけです。

 

一人でもお金を稼ぐ方法」は学んだけど、それで誰でも稼げる甘い世界ではなかった、でもせっかく高いお金を払って勉強したのに勿体ない、そうだこの知識・技術を他の人に教えよう!

とそんな思考になるわけです。

同じように「演技が上手くなる方法」は学んだけど、それで誰でも俳優・声優として稼げる甘い世界ではなかった、そうだ・・・(以下略)

となるわけです・・・。

こうして稼げないけど知識と技術だけは持っている人が量産されて、その中からまた教えたがる人が生まれて、この界隈もやがて生徒よりも指導者の方が多い状態となり魅力のない指導者はどんどん淘汰されていくでしょう・・・(もうなっているかもしれませんが)

 

音楽みたいに趣味でやりたいと思っている人を教えるなら若い人でも良いかもしれませんが、同じくプロになりたい、仕事にしたい人に向けて指導する場合はやっぱりもう第一線を退いた、十分この世界で活躍した、稼いだ人がやるのが望ましいのですがそういう人ほど教える時間なんてないのは野沢雅子さんの例を見ても分かります。

演劇界で志望者に教えたがる人の多くは、

少しでも演劇関連で収入を得たい人で、決して後継者の育成というのは念頭にないことを覚えておきましょう。

 

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