この声優などの芸能界で昔ながらのやり方、オーディションを受けたりして作品出演を果たす、それだけでやっていくというのは「運」によるところが大きく、非常に成功する可能性は低いと散々、書いてきました。
その「運」とは何も人や作品などの巡り合わせだけではないという事を今回、書いていきます。
「時代背景」
それが時代背景、どの時代でこの世界を目指したかによって違ってくるということですね。
たとえば今では声優を始めとする芸能界は一定の人気がある世界です。特に「声優」というカテゴリは昔と比べてだいぶ人気が上がったと言われています。
昔と比べて・・・つまりそこまで人気がなかった時代もあったという事ですね。
特に声優の黎明期と言われるような時代は「声優」とは俳優の副業、アルバイトみたいな感覚でやっていたと言われています。
洋画の吹き替え、ラジオドラマの制作において声だけの演技が求められるようになったので、空いている俳優を引っ張ってきたといった感じです。
そのスケジュールが空いているということは、売れていないという意味もあったので、声優という仕事は下に見られていた時代でもあったとも言われています。それよりも当時はテレビドラマや映画に出てスターになる事の方が憧れの的でした。
当時の声優は、売れない俳優のアルバイト的なイメージで認識されることが多く、当人たちの志とは関係なく、業界内ですら声優という職業を俳優の下にみる傾向があったといいます。
参考「声優の歴史」Synapse編集部より
それを象徴するかのように大塚明夫さんは日本が代表する老舗劇団、文学座の養成所へ入り演技の勉強をしたと言っていますが、その入所希望者が当時千人単位だったと言われていて、演劇界のジャニーズ事務所だと言われていたそうです。(著書「声優魂」より)
いま現在、有名劇団養成所の入所希望者は千人どころか、百人単位もいないと思います。むしろ肌感覚として「声優」の方が人気が今では上回っているはずです。
専門学校などに出回っているその劇団の養成所を宣伝するチラシにも「声優としても活躍している人がいます」というような文を入れて、劇団員からでも声優への道はありますよというのを訴えており、最近の若い人は声優の方がなりたがっているのが伺えました。
おそらくもう、毎年50人も希望者はいないんじゃないかな〜・・・わたくしも演技の勉強をし始めた当時は有名劇団の養成所は入るのが難しいという認識でしたが、あるワークショップで出会った人がその有名劇団の養成所出身だと聞いた時は驚いたものです。
なぜ驚いたかって?
その人の演技があまりにも下手だったからです😓
こんな人でもあの劇団の養成所へ入れちゃんだ〜と失礼ながら心の中で叫びました。しかもそこで勉強してこれかよ〜とw
と、大塚さんが若かった頃は俳優の方が人気があり、声優はまだ今ほど人気がなかったという事です。
そのおかげなのか、大塚さんも時代が違っていたら自分なんか全く売れなかったと断言しています。
まだ大塚さんが声優として活動し始めた頃は「実力さえあれば入り込む余地があった」と表現しており、文学座の劇団員にはなれなかったとはいえ、その第一関門と言える養成所への入所は通ったのですから、お芝居の素質は並み以上にあったのだと思いますね。
大塚さんは時代が味方してくれたから成功者になれたという見方もできるのです。
「需要の高まり」
「声優の仕事枠はもう常にいっぱいだよ、空くこともないし、これ以上増えそうにもない」
こんな事もこのブログでは書いていきましたね。しかし、時代が進むにつれて新しいテクノロジーが生まれます。それによって新しい需要が生まれることもあります。
では、その声優の仕事枠が増えた瞬間というのはいつかなのか?そういう視点で見ればこの時代に声優を目指した人は運が良かったと言えるわけです。
テレビの普及というのは言うまでもないでしょう。それによってのちに世界に誇れるアニメも制作されるようになり当然、声優の需要は高まります。
テレビ、ラジオ、それ以外にも声優が求められる新しい媒体として生まれたのは「テレビゲーム」の登場ではないでしょうか?
テレビゲームの歴史を振り返れば「初代プレステ」からもう既に声優さんが起用されているゲームソフトも数多くあります。さらに「ときめきメモリアル」のヒットにより魅力的なゲームキャラクターというのも生まれましたし、「恋愛シミュレーション」というゲームジャンルも確立しました。
テレビゲーム発の人気キャラクターの登場や、恋愛ゲームのヒットにより今までよりも桁違いに声優の需要は高まったはずです。
この時代に声優を目指した人は、もしかしたら今だったらデビューが難しかったという人も中にはいたかもしれません、しかし需要の高まりによりデビューできたという格好でしょう。
ゲーム機が「プレステ2」に進化するとフルボイスのゲームソフトというのも当たり前になりました。
ときメモのような恋愛ゲームやキャラクターを売りにしているゲームではもはやフルボイスは必須で、この時代の波に乗れた声優さんはウハウハだったのではないでしょうか? 笑
しかしそのテレビゲームの人気が下火になってしまったのでその需要も長くは続かないのですが、今度はテレビゲームに代わって「スマホゲーム」でその需要が再燃するわけです。
新しいテクノロジーの登場は声優業界にもその波が押し寄せてくるわけですね。
他にもいつの間にか声優さんがアニメなどのイベントに出演するように顔出しする機会が増えたという現象も起きています。
あとは「キャラソン」という形でCDデビューしたりと。アニメとか関係なく自分名義でCDを出す人もいたのですが、声優さんが歌い出したと広く知られるきっかけになったのはやはりアニメのキャラクターソングですよね。
美男、美女が登場するアニメも増えてきたので、これで「このキャラが歌っているってイメージできたら良いよね?」とでも思ったのでしょうかね?
キャラソン自体はもっと前から、それこそテレビゲームもない時代からあったと言われていますが、そういうアイドル的な存在のアニメキャラが歌うとなってヒットしたのはこのテレビゲーム全盛期の時代あたりだと思われます。
キャラクターソングの原点は、日本でアニメ放送が始まった1960年代までさかのぼる。1963年の『狼少年ケン』の挿入歌「ポッポとチッチの歌」をポッポ役の水垣洋子が歌唱したものが、おそらく声優ソングの最初の例である。
と調べてみたらウィキペディアに書いてありました。けっこう前からあったんですね。
この流れが「アイドル声優」という存在を生んだのでしょう。
昔は声優さんが顔出しするなんてごく限られた機会でしかなかったのですが、いよいよ「顔出し」するのが前提で、容姿も求められるようになりました。
昔は子供が声優さんの顔をみたら、あまりにもアニメキャラとのギャップでショックを受けたなんていう話もありましたが・・・😅(可愛いアニメキャラクターをおばさんと言って良い年齢の人が演じていることなんてザラにあった)
そのキャラクターにも負けない容姿が求められるようになったので、もはや声優と芸能人の境目が分からなくなってきましたね。
それは人気にも表れていて、声優さん出演のイベントが何千人、何万人と動員できるくらいに成長しました。
日本武道館や横浜アリーナなど人気バンド、歌手がライブをするような会場に声優と言われる肩書きの人が立ったのです。しかも単独で立った人もいます。これは主に音楽や芸能界では衝撃的だったはずです。テレビの中心は主にこの音楽や芸能人だったわけですが、そのテレビの影響を跳ねのけていつ間にか肩を並べられたといった感覚になったことでしょう。
テレビに頼らずといえば「インターネット」の影響力も見逃せまんよね。今ではテレビと同等、それ以上の影響力があると言われていますが、ネットが登場した当初はまさかここまで成長するとは思ってもみなかったという人もいたでしょう。
しかしこのネット発の有名人もSNSの普及、発達でたくさん出てきています。現代ではここから活路を見出すのが良いのでは?とこのブログでは提案しています。
何か今までになかった要素が生まれたら、それに乗っかろうと新しい動きが出てくるのですが、2021年現在はもうその流れもひと段落した、しかも今はコロナ禍。
特にインターネットの登場で広まるのも早いけど、冷めるのも早いと言われて、移り変わりが激しい時代です。YouTuberもちょっと前までは一般的ではなかったけど、急速に広まって一般的に定着して、今じゃあちょっと飽きられている空気すらありますからね。
まぁ、わたくしは幼少期からそのような盛り上がりをリアルタイムで一通り体感してきたから声優を大変、魅力的な仕事だと映ったわけですが、大人になった時は既に遅しって感じですw
そういう風に盛り上がってからだと競争率も上がるから、先見の眼を持ったり、その時代が味方してくれたという「運」も必要なのでしょうね。
今後どのような新しいものが誕生したら新たな需要が生まれるのか?それを予想するのも面白いかもしれませんね。
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