この記事では→「本当に人手は足りているのか?」俳優・声優や芸能関係のお仕事は基本的に人手は足りていて枠は無いと言われているものの、
そのタレントを必要としている事業者にとって一番相応しい人材を見つけるのは様々な理由で困難な状態であると書きました。
その理由の一つに多くの志望者が最初に行き着く演技を学べる学校などの組織、その育てられたを人材を在籍させて事業者に繋げる事務所、そしてまさに俳優や声優を必要としている事業者、主にこの3つの組織がバラバラなので上手く優秀な、将来有望な人材が現れてもなかなか伝わらない場合も多いからです。
ちなみにここでも少し触れますが、一番自分という存在がいるということを伝える、届けないといけないのは一番最後のタレントを必要としている事業者です。
いくら専門学校で出来ますとアピールしても、事務所に私を所属させてくださいとお願いしても、最後の芸能関係の仕事を企画する事業者に伝わらないのであれば最終的に稼げるようにはならないのでそこは勘違いなさらぬようにご注意くださいませ。
それは専門学校で、養成所で必死に勉強して客観的に見ても面白い人だなと周りから評価がされても、そこで止まっていたら意味がないということです。
だから事務所所属を目指すのでしょうが、その事務所から今、必要だと、今後、使い道があるかもしれないと思われないとダメなので所属試験を受けた時期によっては受からない場合があります。
別記事でも書きましたが、いくら面白い人材でも去年は男性しか取らなかったから今年は女性しか取らない、そんな基準で合否を決める場合もあるそうなので、去年だったら受かっていたかもね・・・なんていうことは珍しい事ではないと聞いたことがあります。
通年採用をしている所ならよいですが、養成所を修了した人のみが対象になる事務所、劇団の所属試験なんていうのは一年に一回しかありませんので今年の受験者を見ると、去年落としたあいつの方が良かった・・・なんていう取り逃がしもきっと今まで多々あったことでしょう。
このようにほとんど運が悪く不合格となり、そのまま路頭に迷ってしまったが故に本当は必要としてくれる事業者があったかもしれないのに巡り合うことはなかったというのは十分に考えられます。
多くの俳優・声優は事務所や劇団に所属することを目指しますが、こうして書いてみると別にそこまで重要なプロセスではないと感じることはないでしょうか?
特に今の時代ならインターネット、SNSの発達で個人が多くの人に自分という存在を届けることが可能になったわけですが、その話はまた別なのでここでは割愛。
俳優・声優、タレントを一番必要としているのはコンテンツを制作する人達なのに、その前に事務所や劇団のその時の都合で必要なしと判断されるのはあまり健全ではないように思われます。
他にも個人が開いているワークショップで、優秀な教育をしていて多くの俳優の演技上達の手助けをしていたとしても、じゃあその成長した自分を多くの人の前で披露する機会がないのなら先ほども言ったように、その教育を受けた意味がありません。
理想は人材育成→優秀な人を厳選→表舞台に立たせる、ここまでの一連の流れがスムーズにできるようになっていることです。
その流れを作るには一つの組織が一括でやる必要がでてきます。
そういう意味では劇団というのが今のところ一番その流れが出来ています。
養成所修了→劇団所属→舞台出演、この流れですね。
が、とはいえその劇団も劇団四季や宝塚歌劇団とここまで大きく成功している劇団でもない限り劇団活動だけで生活できるだけの収入を得ることはほぼ不可能です。
そうなってくると徐々に経済的安定を求めたりして辞めていく人が一定数出てくるわけですね・・・。
素晴らしい俳優・声優を育成しても、その優秀だと認められた人の活躍が保証されているわけでもない、事務所の身勝手な判断で干されることがある、
結果、一番欲しいと願っている事業者に上手く良い人材が伝わらない、届かない。
若い時から誠実な努力を重ねて何十年と活動を続けられている人はほんと稀だと思います。
そして本来であれば、そのような人物だけが生き残っていける環境が望ましいのですが、現実はそれとは程遠いです。
学校で、養成所で勉強、ワークショップで訓練してもその優秀者が次のステップへ行けない、稼げないのであれば何のために育てた?となります。
事務所に所属しても、その自分を届けるという役割を他者に任せてしまったがために停滞してしまう人もいるかもしれません。
腕を磨いても、事務所に所属しても、最後はコンテンツ制作者に届かないのであれば意味がありません。
今のところ専門学校という存在は演技力や歌、ダンスなど一通りのことを学ばせたら後は自分で頑張ってねというスタンスです。
事務所所属ばかりに拘っても受けた時期によっては受からない、運要素も多く含まれています。
実力をひたすら磨いてきた人が優遇されない、求められない、そんな状態の日本演劇界。
このような状態では実力が確かで息の長い俳優は育たず、見た目が良い人だけがいっときちやほやされて、数年経ったらまた新しい人に入れ替えられる、じっくり育てられた人が生き残らず、その時、その時いる人材だけで回す自転車操業のようなものなので日本から素晴らしい映画、ドラマ、舞台、アニメというのは今後さらに生まれにくくなっていき、人口減少もあいまって明るい未来は全く想像することはできないとわたくは思っております・・・。
では今回は以上になります。ありがとうございました。
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