いつまで経っても芽が出ず、それでもこの道を諦め切れない人が陥る状態が有ります。
それが延々と養成所やレッスン教室といった所に通い続けることです。
俳優・声優志望者の間では先ずは演技の勉強、訓練を受けなきゃという常識があります。
それで専門学校や養成所に何年間は通うことになるわけですが、殆どの人はその後に目指す事務所や劇団の所属は叶いません。たとえどこかに正式に所属できたとしても自分を中心に仕事が回ってくる人もこれまた殆どいません。
これでもう八方塞がりになるわけですね。自分ができることはやった、でもこの世界で活躍できている状態とは言い難い・・・。
そこである人はもっと実力を付けなきゃ、まだ足りないんだと感じてまたどこかの訓練、勉強できる所に通うわけです。
特にどこにも所属が出来ていない人は何度も事務所や劇団が直営している養成所に入りなんとか所属を目指します。
中には7つもの養成所を渡り歩いた人もいると聞きました。これを聞いたある演出家は言います。
「もう諦めた方がいい」
と。私の知り合いにも所属試験は落ちたけど、このまま何もしないのは落ち着かないと特に当てもないのに歌のレッスンだけは通い続けて、自分はまだ諦めていないんだと奮い立たせている人がいました。
この心意気は素晴らしいのですが、果たしてその磨かれた歌声が生かされる日はいつ来るのでしょうか。はっきり言ってせっかくレッスンを受けても最後は仕事の場で発揮できなければ意味がないわけですが、いつまでもその現場には立てない状態が続くのであれば、どんどん学んできたことを忘れてしまいます。
まさか鈍らせないために現場に立てるまでずっとレッスンを受け続けろと言うのでしょうか?こんな状態になって、これはなんかおかしいぞと思う人もいるはずです。
これを一般的な就職に置き換えるなら何十社と面接を受けても全て落とされた人もいるので、何度か落とされたからと言って確かに直ぐに諦める必要はないと言うことはできると思います。
が、一般的な就職採用面接であればお金を取る所なんてありませんよね。かかるのは会社までの交通費であったり、履歴書など少額の費用のみです。
しかし、この世界では所属試験を受けたかったら先ずは養成所に入り訓練を受けてからと高額のお金を請求されます。しかも時間も大抵一年以上の月日を要します。
高いお金を払って、一年以上も定期的に訓練を受けたのに、目標である所属は叶うことはなかった、これはもうとんでもないリスクです。
そもそも・・・それだけ真面目に勉強、訓練を受けてきた多くの人が申し訳ないけどあなたは必要ありませんと振り落とされる世界ってなんなんでしょ?
これまた別の世界に置き換えなるなら、
「せっかく時間をかけて育てたのだからもったいない」と思うところです。特に人手不足が常態化している所は早く戦力になるまで成長してほしいと願ってやみません。
なのにこの世界では2、3人くらいの人しか毎年、所属が許されないのであればじゃあなんで何十人という人数を養成所に入れさせたの?と思いたくもなります。
つまり、冷静になって考えてみれば毎年、所属が許される人は片手で数えられる程度であるなら養成所に入れさせるための試験の段階で殆どの人を落とさなければいけないのが本来あるべき姿なのです。
それを、どれだけ訓練を積んでも無理だろうなと可能性のない人まで、片端から入れさせているということはこれ自体がビジネスになっているのです。
将来、有望な人材を育てることに主眼を置いているのではなく、俳優・声優になりたい人をターゲットにしてここに入って勉強すればもしかしたらなれるかもしれないと思い込ませて、お金を払わせる。
払うものを払わせたらあとは期限までその気にさせておいて試験の時に落としてさようならです。
現実的に、もしも本当に次世代を担う若者を育てる目的で養成所を経営しているのであればそこに入れるのか?の段階で厳しい試験が待ち受けていると思ってください。
それがなく簡単に入れてしまえるような場所は基本的に、演技の勉強がしたい人はうちに来てくださいとそんな人達を集めてお金を取るだけを目的とした場所になるのです。
演技の勉強は必要なのかもしれませんが、過剰にそこにお金を使うのは止めましょう。
この罠に嵌ると時間とお金をただ費やすだけに終わります。
とはいえ特に声優なんかはその養成所に入らないと所属の道はないことが殆どなので、少なくとも相当なリスクを冒して挑戦することになるとは肝に銘じてください。
たった一度しか受けられない試験で、合格できる人は5人以下、そのために何十万というお金と一年以上の時間を費やしている、ここらへんの認識が甘い人が多いのも事実なので、死に物狂いで努力する必要はあります。
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