【俳優・声優が勉強するべきこと】演技や歌のレッスンを受けるだけでは上手くいかない理由

ビジネス思考

俳優・声優を目指すなら「演技」の勉強は必須なのは言うまでもありません。

集中的に勉強、訓練する期間を3、4年は設ける人もいるし、若い時に最低そのくらいの時間はかけていかないと本当の意味で身に付くことはないと思っていますが・・・、

その「演技」さえ上手くなればこの世界ではやっていけないから厳しいのです。

それはなぜか?

このブログでも何度も訴えていて、かつ当人たちにその意識がないと思われる、

俳優や声優、芸能人と言われる人は「個人事業主」という立場であるからです。

「演技」が上手ければ起用される事は当然あるのですが、それで出演が決まった!と喜んだところで、誰がその出演作品を観に来てくれるでしょうか?

自分が出演する作品を宣伝して観に来てもらうようにする、チケットを買ってもらう・・・、

この行為はもう完全に「営業」にあたります。

つまりこれも何度も言っていますが、誰かに商品を買ってもらうためには何が必要か?

それには「ビジネス」の知識が必要になります。

俳優や声優って「演技」の他にも「ビジネス」の勉強もしないといけないんですね〜知ってましたか? 笑

それに気がついたのがわたくしもほんと最近なのであまり偉そうに言えないのですが、それが実態にも関わらず多くの人はそれに気がついていませんので未だに学ぼうとすらしていないのが現状です。

なぜそうはならないかはけっこう根深い問題がありまして、芸能界というのは多くは若いうちから、高校卒業後に専門学校や養成所へ、もっと早い人は中学、高校在学中からとか活動をしている人がいるでしょう。

その目指す前の段階でほとんどの人は、通っていた学校で「雇われる側」として適切な教育しかなされないので「個人事業主」として必要な知識どころか心構えさえも全く知らないまま目指す事になるからです。

この問題に関してはこの記事でも触れました↓

声優になりたいという生徒を先生は止めてください

「雇われる側」として適切な教育とは単純に言えば指示された事をちゃんとやっていればそれでOK、そんな感じです(最近は自主性も育てようという動きになっているので変わってくるとは思いますが、それで果たして起業しましょうとなるかはまた別の話です)

そんな状態のままこの世界に入ってしまうと、どういう事をしてしまうのか?

それをビジネス視点で見た時に「こんなんじゃ駄目に決まっています」と断言できる例を取り上げてみたいと思います。

1、「リストビジネス」のやり方が不適切

「リストビジネス」とは現代では主に顧客のメールアドレスにセールスレターを送って商品を買ってもらうという手法です。若い人に向けたものならLINEでやる人も見かけます。(昔だったら郵便)

専門学校の卒業が近づき最後の授業が近づくと講師の方から

「メールアドレスを教えてくれないか?」

と持ちかけてくる人が何人かいるのですがその目的はやはり、

「自身の出演が決まった時に宣伝したいから」です。

今まで親しんできた先生ですし、誰も嫌ですと言う人はいなかったです。

一気に何十人のメールアドレスを手に入れられる講師の方からしてみれば、かなりおいしいのですが・・・果たしてこんな方法で手に入れたメールアドレスがどれだけ価値があるのかは今振り返るとちょっと疑問に残ります。

授業の評判の良い講師だったら最初の宣伝の時くらいはそれなりに舞台なりを観に来てくれる人がいるかもしれませんが2、3年と経っていくうちにおそらくその人数は次第に減っていくでしょう。

なぜかと言うとやがて延々と舞台の出演情報しか送ってこないアドレスと見られて、それはつまり通販で商品を買ったらその店からのメルマガが読みたくもないのに送られてくるようになった、そんなメールと同じような存在になっていくからです。

そもそもこのやり方で成功するには常日頃からその顧客とコミュニケーションを取ったり、自分に価値があると実感させてもらわなければいけません。

それは最初の宣伝では学校でお世話になった先生、良い授業をしてくれたという記憶がまだ強いという事で、その感謝の意味も込めてチケットを買ってくれたのかもしれませんが、その過去の恩がいつまでも効力を発揮してくれるほど甘くはありません。

数年経てば中には現実をみて演劇の道を断念する人もたくさん出てきます。それでお芝居に興味が無くなってしまった人もいることでしょう。そうなるとその人はもはや顧客ではなくなります。有効なリストが減っていくという事ですね。

それに加えて繰り返し、卒業後は宣伝メール以外は送られて来ないとなれば、しまいには目障りだと嫌悪感すら抱いてしまうかもしれません。在学中はそんなマイナスなイメージなんてなかったのに生徒もショックだと思います。

元々の関係は「先生」と「学生」という関係性で、その対価はもう授業料という形で払っています。それにプラスして自身が出演する舞台も観に来てくれというのは、なかなか難しいといったところですね。「ファン」ではないわけですし。

こうしてせっかく手に入れたメールアドレスも数年後にはほぼ使えなくなりますので、また新しく集め直さないといけませんが、こんなビジネスが果たして客観的に見て魅力的、効率の良いものに映りますでしょうか?

せっかく集めたのですから「リピーター」になってもらう努力をするのがやるべき事ですが、数年毎にそのリストを枯らしてしまっています。

と、いくらメールアドレスを集めたところで、それはどうやって手に入れたかによってはあまり価値のあるものではありません。形としては努力せずにどこからかメールアドレスを仕入れて、数打ちゃ当たる戦法でやっているのに近いものがあります。

これがリストビジネスの弊害です。

苦労して手に入れたリストではないため、そのリストを「人」としてではなく単なる「データ」としてしか見えなくなるのです。

ビジネスは人と人がやり取りをして成立します。リストを、その向こう側に生きた人間がいると想像できない人にはなかなか上手くいかないでしょう。

専門学校で教えている講師でさえこんな意識です。

リストビジネスがダメと言っているのではありません、上手くいけばとんでもない売り上げをあげる事ができます。が、これが上手くいくにはそのリストが長期間、有効であり続ける土台がないといけません。

専門学校で教えているついでに生徒のアドレスを手に入れる、こういう本来の自分の役割とは関係なく手に入れたアドレスはあまり価値がない、かつその後のコミュニケーションも皆無であるなら上手くいくわけがないということです。

最悪のやり方だと、どこの誰だが知りませんが、リストをお金で購入したのでとりあえず宣伝メールを送るという人もいるそうです。

その商品に興味があるかも分からない人に対してメールを送るという事です。

それだと買ってくれる見込みがない人に、求めてもいない商品の情報を送ることになるので購入率は非常に低くなります。(1%にも満たない確率だとか。100人程度に送っても1人も買ってくれない確率ということです)

2、インターネット、SNSをフルに活用していない

現代はネット、特にSNSの普及と発達のおかげで「個人」でもビジネスを展開してお金を稼げる事が昔と比べて容易になったと言われています。

「個人事業主」としてやっていくハードルが下がったのです。

やはりSNSの魅力は自分を発信できるメディアを簡単に持つ事ができたという点です。

これを駆使していけばもしかしたら一発逆転の可能性が・・・というのも本当に可能になるのです。現にネット発の有名人も出てきていますよね。

なのに少なくともわたくしの周りにはそのSNSをフル活用している人を見た事がありません(わたくしは高校時代からブログをやっておりまして、それなりにアクセスされていたのですが、元が別の動機で始めたものなので俳優をやっている事は公表していませんでした^^;)

ブログを開設するも3回くらい更新したらあとは1年以上放置、ツイッターアカウントあるのにリツイートしかしていない、しかも演劇とは関係のないツイート、リツート&フォローでプレゼント系のやつ・・・、

などこれだと逆にせっかく興味を持って覗いてくれた人に、マイナスイメージを抱きかねないので無い方が良いと思うくらいですね😓

或いは普段は大人しいけど出演が決まったら宣伝ツイートをしまくる。

稽古中の写真を上げる、小屋入りしましたなど本番までの過程を実況してくれるのは良いのですが、出演が決まってから宣伝しても、その舞台を観に来てくれるかどうかは普段あなたがフォロワーさんにどんな価値を提供してきたかにかかっているので、その前段階で沈黙していたらなかなか難しいです・・・。

価値の提供とは別にたいそうなものだと考える必要はありません。

普段のツイートでこの人、面白いとか、私と同じ趣味持っていて親近感わくとか、役に立つ情報をシェアしてくれるなど、ちょっとした好感を持たれるような振る舞いをするれば良いのです。

その積み重ながやがて「会いたい」と思ってくれる人も出てくるのです。

で、これも思ったことなのですが、

インターネットを利用する、最大の長所は日本全国の人にアプローチをかけられる点です。東京に居ながら、北海道や沖縄に住んでいる、顔も名前も知らない人にも自分という存在を伝える事ができるのです。英語が使えるならさらに対象範囲は広がります。

なのになんか発信している内容が身内向けのものが多い気がするんですよね〜・・・。

同じ事務所、劇団の人、ワークショップや共演をきっかけに知り合った人とSNSで繋がるのはよくある事ですが、そんな人しかフォロー、フォロワーにいないんじゃないかというアカウントもあります。

それじゃあ根本的には「知り合いだけに送るリストビジネス」と変わらんじゃないか!?

本気でSNSで集客したかったらもっと発信内容は考える。

もちろん既に自分を知っている人向けの発信もけっこうですが、SNSの強みを生かすならもっと意識を広く持って、顔も名前も存じ上げませんが、自分に興味を持ってくれそうな人を想像して、その人に向けた発信もしていくべきです。

それでちょっと上手くいった例として、知り合いの俳優に子供を産んで、その子育て記録と化したSNSアカウントがあるのですが、そのような投稿が微笑ましいという事で結果的に演劇も子育てもがんばれ!と応援されるような存在になりました。

そんな投稿をすれば同じ子育てをしている女性にも目が止まりますし、演劇を知らない人に興味を持ってもらえるきっかけにもなり得ます。

おそらくネットに疎い稽古場で偉そうにしている俳優よりも一般人からの支持はあると思います 笑

この界隈は身内に気にいられるのも大事ですが、最後は多くの一般人の支持があったこそ長く続けられます。身内ばかりに目を向けないで、それよりも遥かに多く存在する日本中の方々に向けても発信していくのが大切です。

SNSの重要性を認識していないのは主に現時点で20代後半以上の人が多いです。

もっと下の、20歳以下、高校生や中学生などその歳でもう俳優・声優になりたいと思っている人の方がそれを活用しているという印象なので、SNSで自己を表現するのが当たり前の世代にやがて追い抜かれる可能性がありますね。

そういう意味ではSNSをもっと利用しようと、いちいち言う必要は無くなるのでその点で見れば明るい材料です。

けど!

「SNSを使ったマーケティング」

こんなテーマでセミナーをやればお金を払ってでも受けたいという人がいるくらい、やはり勉強というものが必要になっていきます。

センスが良くない限り、無知のままで成功するのは難しいので、しっかりと、

「演技」を学んだ時と同じようにこちらの分野も学ぶべきですね。

まとめ

こうしてみると売れたいと思っていない俳優はいないと思いますが、じゃあそれ相応の努力をしているのか?と言われると、

「う〜ん」という光景ばかり思い浮かびますね💦

「わたしを使ってください、お願いします」とオーディションを受けない限り、出演は叶わないので身内ばかりに目がいってしまうのは仕方がないのですが、それは結局のところ「運」によるところが大きいです。

それよりも理想なのはこちらから動くのではなく待っていても出演依頼が来るという状態です。

どうすればそうなるのか?

その判断基準にはやはりこの人は「ファン」が多いからたくさんの観客動員が見込めるなど、価値があると認められた場合です。

その「ファン」を増やすというのは努力や工夫次第で上手くいきます。少なくとも「運」による比率を、

「ヒット作品に出演する事できた」よりも下げる事ができます。

だったらかける時間、お金をレッスンや芸事だけでなくこちらに割く方が「売れる」確率は上がると思うのですが、どうでしょうか?

他にも今度はいち個人ではなく劇団、舞台を企画する組織側にも改善するべき点はあると思いますが、今回はその個人レベルでも直せるところをあげてみました。

では、また!

コメント

  1. […] この記事では→「売れるわけがないチケットの売り方」 […]

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