私がこうしてビジネス思考を持ち合わせるようになってから改め深く関わった『演劇』の分野を見つめた時にふと思いました。
『演劇』ってエンタメコンテンツの中ではどのくらい人気があるのだろうと?
ちょっと他のジャンルと比べたら寂しいような気もしたので。
とはいえ『演劇』という言葉だけではどこを指しているのか曖昧だったり、人によってはイメージするものが違うかもしれませんね。
『演劇』
この言葉を聞くと学校の体育館で生徒たちが舞台上で演じている所を思い浮かべる人がいたり、
シェイクスピア、チェーホフといった古典の作家が浮かぶ人もいるでしょう。頭の中で描いている図が古いというか演劇の歴史を連想しているってことですね。
こうなると『演劇』ではなくもう一歩具体化したものを提示する必要が出てきます。
もしかしたら、
『演劇』要素のあるコンテンツはどのくらい人気があるのだろう?という方が正確かもしれません。
それは何かと言われたら、
ストレートプレイの舞台はもちろん映画、テレビドラマ、アニメ、ミュージカルと主にこれらのコンテンツが挙げられます。
これらは『演劇』というよりは、その言葉一つで独立したジャンルになっている感覚がありますよね。
世間的に『演劇』という言葉ではこれらのコンテンツは指していない可能性があるわけです。
ではこの演劇要素のあるコンテンツたちはどのくらい人気があるのか?
最近、日本映画で明るいニュースがありましたね。
『ゴジラ−1.0』が今年のアカデミー賞の視覚効果賞を受賞、
同じく『君たちはどう生きるか』も長編アニメ賞を受賞しました。
日本から数多くの名作を生み出した特撮、アニメで世界的な映画賞を見事に獲ったのです。これで国内は盛り上がらないわけがないのですが・・・、
この快挙は果たして日本映画界にどれだけの波及効果があるのかと言われたら、そこまで恩恵を受ける人達はいないのではないでしょうか?
どういうことかと言うと・・・、
例えば前回のサッカーワールドカップで日本がドイツ、スペインを撃破!
これも大変、日本中が沸きましたよね。
この盛り上がりにより何が起きると考えられるか?
サッカーに興味を持つ人が一気に増えて・・・、
代表戦のみならず国内リーグ「Jリーグ」に目を向けて試合を観に来てくれるかもしれません。
子供がサッカーやりたい!と言い出してサッカー教室の生徒が増えるかもしれません。
スポーツ用品を扱うお店もサッカー関連商品がいつもより売れる事でしょう。
スポーツ観戦しながらお酒が飲めるスポーツバーはこういう大きな大会がある時期は大盛況です。
このように「サッカー」というジャンルが盛り上がることによってそれに少しでも携わっている様々な人々にもその盛り上がりが波及するのです。
じゃあ『映画』はどうでしょうか?
日本映画がアカデミー賞を受賞した!
これによって・・・、
きっと受賞作の動員はさらに増えるのは確実ですが・・・、
他だと・・・他のゴジラ映画も観てみようかな?久しぶりにまた昔のジブリ作品観てみようかな?・・・、
ざっと思いつく限りではこのくらいで、
サッカーと比べるとそこまで広範囲な影響はない気がしないでしょうか?
これで、
「日本映画もまだまだやれるんだ!これを機に邦画も見直してみようかな?」
といきなり過去の邦画を片端から漁ってみようかとはなりにくいですよね😓
あるのは先述通り関連作品のみです。過去のゴジラ、ジブリ作品と。
このことから何が言えるのか?
それは、
演劇要素のあるコンテンツの人気はその器にどれだけのブランドが内包されているかにかかっている、
ではないでしょうか?
映画が、テレビドラマが、舞台が、ミュージカル自体が人気なわけではなくそのコンテンツにどれだけ魅力的な素材が詰まっているのか?で決まるのです。
今回の人気を支えたのは昔から誰もがご存知で、人気があると既に認識されている「原作」「制作会社」の存在があったからこそです。
今や世界中から怪獣の代名詞として知られている『ゴジラ』
子供の時に一度は観ている人も多い国民的アニメ映画『ジブリ』の新作
これだけで一定の動員は見込めます。たとえ前作はいまいちな出来だったとしても過去の絶大な実績のおかげで根強いファンも多数おり、とりあえず観てみるかとなる人もこれまた一定数おりますしね。
ゴジラ、ジブリの映画、
これだけでどんな作品なのかある程度はイメージ出来て、面白さも期待できるとなって多くの人が映画館に足を運んでくれるのです。
が、それでもその器に少しでも不安要素があるとマイナスイメージが付きまといます・・・。
ゴジラの監督を務めた人は過去にある原作ありの映画をその原作ファンから大ブーイングをくらうものに仕上げたことで知られていました。
これにより一部からは「今回は大丈夫なのか・・・?」という声は公開前からありました。
「映画」という器を構成する要素にもちろん「監督」は誰なのか?はかなり重要な要素になります。その「監督」に少しでもマイナスイメージがあるとやはりこのような声が出てきてしまうのですね。
ここまでを読めば大体、伝えたいことがなんとなくでも分かってきたのではないでしょうか?
演劇要素のある「映画」の人気を決めるのはこの器にどれだけの期待が持てる素材、要素が詰め込まれているのかにかかっている・・・、
それはつまり、
「原作」の知名度、人気であったり「監督」の実績であったり「出演者」も忘れてはなりませんよね。
これらの「ブランド化された」要素がたくさんあればあるほどその「映画」という器は強固なものとなり、実際は面白いのかどうかは不透明でもお客さんは時間とお金を払って観に行ってみようと決断することができるのです。
この二つの映画にはこの度「アカデミー賞受賞作」というさらに面白さを保証してくれるブランドが付きましたので、これを機に普段は映画を観に行く習慣がない人まで巻き込んでいくほどの影響力があると思います。
そして基本的にはこの快挙の恩恵を受けることができる人はこの器に入っている人達に限られます。
これがいくら大ヒット作は定期的に出てきても、業界全体としてはいまいち盛り上がっていないなと思う原因ではないでしょうか?
監督、出演者はきっと次の仕事のオファーが既に来ているかもしれません。
ゴジラ、ジブリ映画が注目されたので過去のそれらの作品が見返されるのは先ほども述べましたね。
これでゴジラ、ジブリというコンテンツはただでさえ強いのに過剰と思えるほどにさらに強くなってしまいました。
では、比べる対象として挙げたサッカーほど及ぶ範囲がなぜ限定されるのか?は「普遍性」があるのかどうかではないか?とここでは解を出したいと思います。
やっぱりサッカーって「普遍的な面白さ」があるのではないでしょうか?
誰がやっても面白い!とも言えるかもしれません。
国際試合で盛り上がって、Jリーグに移ったところでその日本代表選手を生で観られることはもう殆どできなくなりました。みんな海外でプレーしているからです。
でも選手、器に入っている人材、要素が変わってもサッカーが持つ面白さって体感できると思うのですよ。
それは観る側からやる側になってもです。
サッカーを観て自分もサッカーをやりたくなるのは単純にやっても面白そうだからでしょう。
これも誰がやっても面白いではないでしょうか?
公園でサッカーをしている人、それを眺めている人、これだけでもそれぞれで楽しんでいる事と思われます。
ワールドカップで見られるような高度なプレーがなくても面白いのはサッカーが持つ普遍的な面白さ、言い換えるなら共通するルールがあるからだと思いますね。
これが器の要素、人材が変わっても飛び付く人がいる理由かなと。
対して「映画」はどうでしょうか?
そもそも「ゴジラ」と「ジブリ」の要素を外してしまったらもはやその器は空っぽも同然です・・・💦 この人気に支えられての大ヒットでもあるので。
趣味は映画鑑賞ですと言っている人でさえ、実はホラーや暴力、グロテスクな描写が強めの映画は苦手で観ません・・・という人はいるはずです。
「映画」ならなんでも良いわけでない表れです。
繰り返し言うように別に「映画」そのものが面白いわけではなくその「映画」という器にどれだけの魅力的な構成要素があるかによって面白いかは決まるのです。
その内容によっては拒否する人はいることでしょう。
今回の中核は「ゴジラ・ジブリ」なのでこれが無くなったらどんな豪華出演者を並べても、肝心な部分が空白だと残念ながら魅力的には映りません。
その点「サッカー」は共通するルールのもと「サッカー自体」が面白いという強みがあるのです。
その器にどんな要素が入っていても一定の面白さを提供してくれる。素人が公園でワイワイするだけでも楽しかった記憶がある人もいるのではないでしょうか?
逆に「映画」は誰でも、なんでも良いわけではない。
けっこうガチガチに固めてしっかりとその器を着飾っていかないと傑作を、お客さんを惹きつけるものを作るのは難しい・・・。
映画を始めとした演劇要素のあるエンタメコンテンツで集客に苦労している人は大変、多い印象です。私も苦労しました。
じゃあ、なんで苦労するのかって言われたら自身が作る、出演するコンテンツにどれだけの魅力的な構成要素があるのかってここまでの流れで理解できますよね。
ここでは自身もその構成要素の一つだということも自覚しましょう。
出演者という立場なら「この人が出るなら観てみようかな?」と思ってくれるお客さんがどれだけいますか?って話です。
さすがに肝である出演者にも、演出家・監督にも、台本にも何もそのブランド化されたものがないのであればお客さんを集めるのは厳しいと言わざるを得ません・・・💧
ちなみに私がそこまでしつこく宣伝をしなくてもお客さんが集まった舞台は、その劇団が企画する舞台は面白いという評判が根付いていたからです。
これなら出演者に有名な人はいなくても動員は見込めます。
しかし、こうなるとこの舞台をやるにあたっての売り上げに自身が何も貢献していないのであれば報酬は低いことが予想されます。
むしろ出演者は宣伝効果が期待できるのでノーギャラでも文句は言えないかもしれません。
エンタメ分野で成功すれば大きな額の報酬が入ってくるというイメージを持っている方もおられると思いますが、それは自分が関わることによって売り上げに大きく貢献した場合のみです。
その貢献度が低いのであればさほど大きな分配は見込めないとは覚えておきましょう。
そういう意味では、チケットを多く売った人がその分だけ還元されるというノルマシステムは当然の仕組みなのかもしれませんがそれは事前に告知するべきだと私は思います。
知らされていないで出演を承諾してしまい、いきなりチケットノルマがあります、売れなければ自腹ですと告げられて困った人をこれまで見てきたので。
ということで、
『演劇』ないしは『演劇要素のあるコンテンツ』は人気があるのか?
というテーマでここまで書いてきましたが、
大きな人気を得る可能性を秘めている分野ではあるが、全てはその器にある構成要素次第で全く人気が出ないまま空振りに終わることも珍しくない、
ではないでしょうか。
人気あるコンテンツは他の追い上げを許さない程に圧倒的な人気を誇るが、ないやつは悲しいほど見向きもされないとも言えるかもしれません。
後者にならないためには先ずは自身を、または組織をブランド化していきましょう!
その先の、そのためにはどうすれば良いのか?までも数年前から言及しているのが当ブログになりますので是非、他の記事も読んでみてくださいませ。
参考記事↓
では今回は以上になります。ここまでお読み頂きありがとうございました。
コメント
[…] 「演劇界はどれだけ人材育成・教育』に力を入れているのか?」 […]