『現役 俳優・声優が直接指導します!』という宣伝文句の落とし穴

タイトルの通り『現役の俳優・声優が直接指導します!』という宣伝をする専門学校・養成所は非常に多い印象はないでしょうか?

私が高校時代にどこの専門学校にしようと悩んでいた時にこの宣伝文句はとても魅力的に感じました。

「えっ、あの人が演技を教えてくれるの?すごい!」

みたいな感じで。

なのでこの宣伝は有効である証なわけですが・・・、

今となってはこの売りにしているポイントは実はさほど効果がないのでは?と個人的に思っているお話をしたいと思います。

実際の仕事場では現役の俳優・声優が演技についてあれこれ要求できる立場にはない、されることはまれである

はい、これに尽きます😓

憧れの現場で演者に「こうしてくれる?あぁしてくれる?」

と演技やパフォーマンスについてあれこれ指示を出すのは殆どは監督、演出家、声優なら音響監督、またはプロデューサーと言われる立場の人達です。

もちろん中には様々な肩書きを持っている人はいるので演者としての能力はある演出家や映画監督もいるでしょうが、やはり俳優・声優としての経験はない人の方が多いはずです。

つまり演技のことについてちゃんと勉強していないとは言いませんが、演者ほどには勉強していない、自己流で学んだみたいな人も多いわけですね。

そして、専門学校や養成所で演技指導をしている人の殆どは演出家として、監督としての肩書きはない本当はあなたと同じ立場で、今日も仕事を待っているはずの俳優・声優さんになります。

このミスマッチってよく考えればそんな見逃していいの?と思えることなんですよね💧

学校や養成所では様々な価値観の講師(現役の俳優・声優)の方から学ぶとは思いますが、実際に現場に立つとこれまでとは異なる立場の人から要求されることの方が多いのです・・・、

=しっかりと現場で要求されるようなことを学校や養成所では教えているのか?という疑問がわいてくるわけです。

はっきり言って「学校では何を教えているの?」と苦言を呈す演出家はいます。

逆に養成所での苦労はなんだったのか?こんな急造な演技でいいんだ、とOKをあっさり出してしまう所もあります。

肌感覚としては舞台で要求される演技は比較的、高いと思います。それこそ学校や養成所では褒められた演技にボロクソ言われた経験がある人はいるかもしれません。

舞台を担当する演出家はそれなりに演技について勉強はしている人が多いからか、自分なりのこだわりがあり理想像があるからかもしれません。

ただその要求が分かりやすい、他人にも伝わるように言語化できているかは別の話? 笑

CMはけっこう緩いかもです。むしろその場で思いついた演技をしても良い演技してくれるね〜!と大袈裟に褒められたこともあります。そんな厚みのある演技は求めていないのですね。

映像関係だとなんか舞台と別畑の人が多いからか、ハムレット?チェーホフ?あぁ読んだことないかな〜みたいな人も珍しくなく完全に別世界かもしれませんね。

が当然、映像でも昨今の日本映画はアカデミー賞を受賞、ノミネートされた作品も散見されますが、そのような最高峰の賞を目指している映画だとトップレベルの演技が求められますし、それをやはり出演者たちは実践しております。

 

このようにカテゴリや現場によって落差が激しいわけですが、自分がどこを主戦場にしたいか?で変わってくるということです。

どこの現場でも一律のものが求められるわけではありませんので、あの先生からOK貰わないとプロになれない!なんて落ち込むことはないのです。

それこそ、専門学校や養成所で厳しい講師と当たってしまい自分の演技について散々の言われようでも、それはその講師だからであって人が変わればあなたの演技を認めてくれる人はいるはずなのです。

その人がキャスティング権を持っている演出家や監督であれば、その人の作品出演は望めないかもね・・・となると思いますが、そういう立場にはないただ演技の指導をする人だけの立場の人であればそこまで気にする必要はないのです。

そう最終的には起用するか、否か?

そこを決める立場の人に認めさえすれば、それまでにどれだけの講師に演技を酷評されても道は閉ざされたわけではないと胸に留めてください。

これ怖いのは、言い換えるならいくら専門学校や養成所ではベタ褒めされても今の時代に求められる俳優・声優像ではない等の様々な理由からどこの事務所にも所属できない、作品出演を果たせないパターンもあるってことなんですよね。

専門学校や養成所で学んだことはどこまで本番、実際の仕事の場で生きるのだろう?と疑問に思っている、というお話でした。

ただどこの現場も共通して言えるのは、

もはやそこは演者の教育の場ではない、

ということです。

「あっ、こいつできない奴だったか」

と思われてしまったらよほど気に入られてでもいない限り助け舟など出さずに今回だけは我慢して使うけど次は使用しない、という気持ちを持たれてそれで終わりですし、

学校や養成所みたいにじっくりやる時間はないので短い言葉の要求でも意図を瞬時に汲み取り、それを次のテイクで表現できないならやはり使い勝手悪いなと思われます。

向こうもここまで述べてきた通り演技の専門家ではない場合も多いので、演者にこちらの想像を超えるものを出してくれないかと期待している人もいるので、演技についてはこちらで補完してあげます!くらいのつもりで臨めば好かれる俳優・声優になると思います。

こちらが細かく指示しなくてもやるべきことをしっかりやってくれる人材というのはどこの分野でもありがたい存在になり得ます。

その自身の演技の軸を身につけるためには、何時間も年単位で学べる学校や養成所というのは有効ではないでしょうか?

そんな目的を持って学ぶ意識があるなら決してこういう場も悪い場所ではないと思いますので、そこはあなたの事情も踏まえて判断してください。

それでも専門学校・養成所とは先ずは生徒たちを途中で辞めさせないで卒業させる(お金を最大限回収するため)ことを第一の目的にしていますので、そのためにそこまでついていけないような授業にはしない、そんな場でどれだけ有意義な訓練が出来るのだろう?という懸念は常にあります。

それに関する内容は前回の記事を参照してください↓

演劇界はどれだけ人材育成・教育』に力を入れているのか?

 

 

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