もう一つおすすめの劇団をご紹介したいと思います。それが「イキウメ」
前回、紹介した「劇団チェコレートケーキ」と同じく2003年に結成という日本で知られている劇団の歴史と比べればまだ若い劇団と言えますが、今では人気劇団の一つとして知られています。
わたくしは名前だけはやはり面白いという事で養成所時代から知っていたものの、実際に舞台を観たのはそこを出てから2017年の「散歩する侵略者」でした。
場所はシアタートラムだったのですが僕もそこのステージに立った事があるだけに今でも客席から観た感覚を思い出す事ができます。
確かチケットはほとんどの公演が完売で、取ろうと思ったのが遅くてややチケット取りに苦労しているのも覚えています。シアタートラムで公演をやって全公演の席を埋めるほどの勢いとはやはり人気ある劇団の証ですね。
作風としてはわたくしが観たのはSFチックなホラー要素がある作品だったのですが笑い要素もけっこう盛り込まれてました。
その中でも所属俳優の安井順平さんは独特のオーラを放っていて彼が舞台に立っているだけで何か惹きつけるものがありました。
この安井順平さん、たまにテレビドラマやCMにもメインキャストとして出ていて知っている方もいるのではないでしょうか?しかも調べてみると「お笑い芸人」という肩書きも持っていて、出演歴をみるとあの「エンタの神様」にも出た事があるそうです。これはコントのようなシーンも得意だというのも頷けます。
ちなみにこの「散歩する侵略者」は映画や小説にもなっていてオリジナルではないとはいえ、どんな作品なのかは知る事ができるのでご興味ある方は是非。
舞台から始まり、そこから映画や小説にもなるという事は非常に評価が高いと言える基準になると思います。
ホラー要素があると書きましたが、実は泣ける恋愛ストーリーでもありました。わたくしもチョコレートケーキに続き、ここでも泣いてしまいましたし。
内田 慈さんが凄く良い演技をしていて、安井順平さんと並び印象に残った俳優さんでした。
この劇団にも言える事なんですが劇作家が所属していて、オリジナル作品を上演しているのが強みだと思っています。
イキウメの「前川知大」さん。
チョコレートケーキの「古川健」さん。
「今」を、現代を生きる作家さんがこの時代に突き刺さる作品とはなんだろう?と考えて、見事にお客さんの心を掴んだ結果が今の人気だと思っています。
そんな理由だとするならかつては人気劇団として名を馳せていた老舗劇団たちが最近はちよっと昔と比べたら動員が寂しくなってしまったのも、既存の言ってしまえば過去に書かれた戯曲を上演しているからいまいち話題にならないのかもしれません。
もちろん素晴らしい戯曲を上演しているのは間違いないでしょうし、今にも通ずるものがある本質的な部分が描かれていると思いますが、お客さんは飽きっぽいとも言えるので「新作」「書き下ろし」という部分に惹かれてしまうのもあると思います。
「あの劇団の新作が今度、上演されるぞ」それだけで観に行こうと思えるくらい信頼を獲得できればかなり強いです。
劇作家さんはコンスタントに新作を書かないといけないので大変でしょうが、「演劇は時代を映す鏡」ならやはり、
「今」を映し出す作品も必要なのではないでしょうか?
コメント
[…] 「イキウメ」 […]