このブログでは今まで幾つかのオススメ劇団をご紹介してきました。
「イキウメ」
これらの劇団と比べれば著名な演劇賞を受賞したり、テレビドラマなどの他方面のメディア展開するにはちょっと難しいかなと思いつつも、確かに一人の人間の記憶に今でも刻まれている劇団がわたくしの胸の中にあります。
それが、ムランティン・タランティーノ氏 主宰で、
「宇宙派カオスエンターテイメント集団」と名乗る、
「3.14ch」という劇団です。
この「宇宙派カオスエンターテイメント集団」というキャッチフレーズはこの記事を書く際にホームページを検索した時に初めて知りました 笑
が、そう言われると「確かに」と妙に納得してしまう公演だったことを思い出します😓
とにかく「凄かった」それだけは言えるのですが、どう凄かったか、それを言葉にするのは非常に難しい。幸いにもホームページのbiographyの項目を見ていただければこれまでの公演の様子を写した写真が何枚も鮮明に掲載されているので是非、ご存知ない方は見てほしい。
改めて見てみると「これぞ小劇場ならでは」という雰囲気が伝わってくる。伝統ある新劇の劇団や商業演劇ではまずやらないであろう、悪い意味ではなく学生の演劇部が考えたような自由さ、しがらみのない中で作った舞台といった感じ。
そういう作品が生まれやすいのも「小劇場ならでは」だと思う。別の分野で例えるならテレビゲームのジャンルでも昔は今では絶対にこんな題材のゲームは出せないというような面白いテーマ・マニアックな、それこそ「カオス」なソフトがたくさんあったと思う。
そんなソフトがテレビゲームから無くなったのも「テレビゲーム機本体の高性能化」が挙げられる。分かりやすく言えばゲーム機本体が高性能になればなるほどゲームソフト一本あたりの製作費がどんどん高騰していくのである。
今ではその性能に見合ったソフトを作るとなれば何十億単位の製作費がかかるとされる。要は大手企業、資金力がある制作会社しか生き残ることができなくなってしまったのである。
そんな会社でさえ作るならある程度はヒットしないととんでもない赤字になってしまうことからやはりあまりリスクある、冒険したと言えるような完全新作ゲームソフトを作るよりは人気シリーズの続編や過去の名作リメイクの方が確実なのでどうしてもそちらに走ってしまいがちになってしまう。
そういう意味では演劇の「舞台」というのは昔から変わらない。資金力がない劇団、組織でもそれに見合った形・場所で公演を行うことができる。この環境が今でも「こんなはちゃめちゃ公演初めて観た」と思える舞台に出会える所以ではなかろうか(その代わりゲームでもクソゲーなんていう言葉があると同じように、とんでもなくつまらない舞台も多い)
と言いつつ、この劇団の舞台、写真を観ても分かるようにそんな「お金がかかっていない舞台」とは言い難い、かなりのセットで拘りも伺える。個人的には舞台美術も何もない素の舞台、袖の黒幕さえない公演も観たことあるのでこれはそれなりのチームで舞台を作っていると思われる。
特に凄いのは「音響」である。そう、演劇の舞台なのに特筆するべき点はそこなのだ。音響プランがとんでもない複雑で、凝っているのである。間違いなく担当しているのは素人ではなく、それなりの経験があるプロであろう(お金がない所だと照明などのスタッフを本番では素人が担当する場合もある)
音楽、音がないと成立しないだろうなっていうくらい物語の構成に音響が関わっている。これは音響スタッフさんも大変だと、本番中に何度も思った。台本にはどんな書き込みがされているのか見てみたくなるくらい、ぎっしり詰まっている。
小劇場の公演って先述通りお金ない所が多いから純粋に俳優の演技を観れるはずなのだが、ここではその認識が覆された。俳優の演技が印象に残るより、この劇団の世界観が独自すぎて圧倒される、まさにスタッフも含めてチーム全体で作り上げた舞台って感じでした。
そんな一味も二味も違った公演をする集団「3.14ch」の舞台を機会があれがご覧あれ!と言いたいところですがもしかしたらホームページを見る限りここ数年は公演を行なっていないのかもしれないですね・・・その代わり最新の情報からして今は映画を作っているみたい。
はい、これがやはり「舞台演劇」のもどかしいところです。言葉で説明するより面白いから観て!それが映画であればレンタルするなり、今なら直ぐにサブスクで可能だが、舞台はそれができない!
それどころか今はどうやら活動していないらしい・・・こんなこともあり得る。これはコロナの影響も大きいでしょうね。他にも今まで観てきた劇団でコロナ前の公演を最後に公演を行なっていない劇団もありました。(3.14chは2016年以降の公演情報がなく、それよりも前から公演を行なっていないかもしれないので事情は違うかもしれないが)
だからきっとコロナ禍でも公演が出来ている所はしっかりと今までの活動でお客さんの心を掴んで待ってくれている人がいる所だと思います。
別記事でも書きましたが「舞台」というのはエンタメ分野の中でも特に儲からない、儲かるわけがない催しものだと言われています。映像作品にはしないので本当に当時、観た人の記憶にしか残らない儚いイベントです。
ならせめて、こうして演劇関連の情報発信をしている自分が少しでもその「記憶」を伝えていこうかなと思い、こうして記事を書きました。
「3.14ch」映画制作に活動方針を変えているとはいえ、活動は止まっていないと思うので演劇ファンの方はたまには最新の情報をチェックしてみてくださいませ!
その映画をヒットさせて資金を貯めて、また舞台制作にも乗り出すかもしれないですし。ビジネス的にも映画というのは演劇の分野で気軽に観られる、良い名刺代わりになると思うので『届ける』という意味では一度完成してしまえばディスクに焼いたりして配ることもできて適していると思うので良い選択だと思っています。
では、また。最後までお読みいただきありがとうございました。
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