俳優・声優や芸能人が所属事務所を退所して独立・フリーになる事について思うこと

昨今は俳優や声優、芸能人が所属事務所を退所して独立・フリーになったというニュースをよく耳にするようになりましたよね。

タレント側からしてみれば事務所を挟まず直接、仕事の依頼を受けた方が報酬面で得をするので可能であるなら当然の流れなのですが、

日本の芸能界はまるで所属タレントをその事務所が雇っているような関係性で、事務所が力を持ち過ぎていた歴史もあるので価値観が変わっている事を象徴する現象だと思っています。

当ブログでもまだ無名の段階では事務所にお世話になって仕事を貰い、どんどん知名度が上がって活動が軌道に乗り始めたタイミングでフリーになることを考えてみるのも良いと書いたことがあります。

既に有名になれているのならわざわざ事務所を介さなくても自分を指名して仕事の依頼が来ますからね。

こうなるとタレント側にとって「事務所に所属する」とは「最初のステップ」に過ぎない、という位置付けになるわけですがここまでを書いて事務所側の気持ちに立ってみれば良い気分ではないことも見えてくると思います。

せっかく無名の子をじっくり育ててもいずれ独立されるのが目に見えているなら、どう思うのか?

それが・・・、

新人を丁寧に育てる気がなくなる、

です。

考えてみれば当然のことですよね。せっかく育ててもいずれ去ってしまうのであればそんな時間とコストをかけて育てる動機など無くなります。

これは芸能界に限らず他の業種でも起きていると思います。せっかく育てた新入社員が数年で辞めてしまうのを何度も経験したら会社は新人教育のやる気を失います。

こうなってくると、芸能界であればタレント自身の力で見事に人気を獲得した旬な人に目を付けて事務的な作業はこちらが引き受けますので業務提携を結びませんか?と声をかけた方がまだ良いです。

事務所側が育成することはせずに、フリーで活動して人気者になれた人をターゲットにするわけですね。

こちらの方が人気者が出現するのを待てばいいので楽になります(同じように他の業種でも別の会社で教育を受けた、経験を積んだ転職希望者を採用してこちらはその手間を省く方が楽なことでしょう)

まぁ、活動の方針などタレント自身が主体性を持って決めてそのサポートを裏方の事務所が行う、これが本来の芸能活動ではないのか?とも思うのである意味「本来の姿になろうとしている」とも言えるのですが。

今はだいぶ意識が変わりつつあると思いますが、
私が目指した十年くらい前はまだまだ「事務所が仕事をくれる」という認識が強かったのでその事務所に所属することに異様なこだわりを持っていた人がたくさんいました。だから所属できるまで幾つもの養成所を渡り歩く人も出てくるのでしょう。(こういうのを養成所ジプシーと呼ばれているらしいと最近知る)

この「事務所が仕事をくれる」という志望者の認識が事務所側がこれまで力を持ち過ぎてしまっていた原因でもあると思いますが。

が、これからは自身の価値は先ずは自分で証明して認められてから、一人ではこなすことが出来ないくらい忙しくなった時に事務所からのサポートを受けるという流れに変わってくるかもしれません。

つまりは、
事務所が自分を有名にさせてくれる」なんておんぶに抱っこみたいな精神では到底、上手くいくことはないとタレント側も姿勢を改める必要が出てくるわけですね。

この、
芸能事務所がある人物を有名にさせてくれる
、というのも考えてみればなんだか不思議な仕事だと思うんですよ。

誰かが選んだある人を猛烈にプッシュして様々なメディアに出演させて、有名にさせて稼いでいこうという仕事とも言えるわけですが、

自分がその立場だったら余程、気に入った、というか惚れた、もしも異性だったら恋愛に近い感情を抱くほどの魅力的な人物でないとそんな風に有名にしてやろうという気にはなりません。お金を稼ぐだけが目的なら別のビジネスをした方が効率良さそうですし。

そこまで思わせる人とはそうそうお目にかかれないと思いますし、それは学校や養成所で訓練すれば必ず身に付くものでもない天性のものではないでしょうか?

そう考えると必然的に事務所に所属できるのは「ごく少数」になるわけですが、事務所によっては百人近い人数を抱えている所も少なくありません。

優良な事務所か?悪質な事務所か?の一つの見分け方として、

所属人数を見て数十人以下と少ないなら一人ひとりと向き合っているまともな事務所、あまりにも多いならそれよりも所属タレントから何かしらの形で定期的にお金を徴収してそれも収入源にしている悪徳な事務所である、

とはよく聞きます。

このように本当に「事務所は仕事をくれる、有名にさせてくれる」存在であるならそんな立場になれるのは極少数であるとは覚えておきましょうね・・・😓

このようなシステムが出来れば育成に力を入れる流れになるかも・・・?

ある組織が育てた優秀な人材がやがてそこを去っていく・・・、

そんな現象は他の業種でも起きていると申しましたが、それは承知の上でそれこそが我々の役目であると自負しているような分野もございます。

それが「サッカー」の世界です。

サッカーでは世界的には決して強いとは言えないチームがとんでもない選手を育て上げてしまう事がよく起こります。(日本では移籍後の活躍を見れば香川真司選手なんてそんな例ではないでしょうか)

そしてその内、そんな選手を見たビッグクラブが「あの選手欲しい!」となるまでがワンセットです。

その後はクラブチーム間で交渉となるわけですが、その選手を育て上げたクラブチームは「この選手が欲しいなら移籍金はいくら〜」と提示するわけです。

はい、この「移籍金」が重要になるわけです。

サッカーではある選手が別のクラブチームに移籍する時に、選手を引き渡したクラブに選手を獲得したクラブはそのタイミングによってこの「移籍金」を支払う決まりがあるのです。(移籍時期が契約満了時だった場合は基本0円)

これで例えば育成組織から育てた若者に対して資金豊富なあるクラブチームが二十億円という価値を受け入れたのなら、その育てたクラブチームにその額が入ってくるわけです。

これで優秀な選手を引き抜かれたとしても手に入れた莫大なお金で再び育成資金やその他のクラブチーム運営に回すことができて、決して損をしたわけでもない形になります。

むしろ育成に力を入れて、その選手たちを高い値段で売る〜というサイクルを繰り返してクラブチームを運営していくのが「うちのスタイル」と自負している所すらあるかもしれません。

こんな感じでサッカーには優秀な若手選手を育てたクラブチームにもしっかりとその恩恵があるような様々な仕組みがあるのです。(他にもトレーニング・コンペンセーション、連帯貢献金などがありますがとりあえず優秀な若手選手を育てた、輩出したクラブチームにお金が還元される制度であると理解してくれたらここではいいです)

これがあるからこそサッカー界は中堅以下のクラブチームも育成に力を入れるわけです。ビッグクラブが欲しがるような選手を育てれば大きなお金が入ってくるならと。

なら!ということでそんなシステムが構築されていない業界にも似たようなものを取り入れても良いんじゃないの?と思うわけですよ。

特に芸能界は先に書いたように知名度が上がって自分を指名して仕事に入ってくるようになってあまり事務所に所属する意義も感じられないので、後はフリーでやっていきますんでさようなら〜👋みたいに去られたらたまったものではありません・・・。

きっと事務所側と独立、退所に関して揉めたなんて事はあまり表に出ていないだけで山ほどあったと想像できます。

出てきた話の中でも、
辞めるなら「数年間は芸能活動しないことを条件にさせられた」

とそこまで制限するのは違法なのでは?という話もあります。

こんな退所したら露骨に不利になるような条件を突きつけるのも、かつて所属していた人が退所後にさらに売れてしまったのを見るのは面白くないというのもあるでしょう。

ならせめてこの事務所に所属したのをきっかけに活動するための基盤が出来た、ちゃんとサポートを行ったなどが認められた場合に限ってなど基準を満たせばこれまでの感謝の気持ちも込めて「移籍金」みたいなものが支払われてもいいんじゃないか?ってことですね。

この場合は移籍するのではなく独立するのでそのお金はタレント個人が支払わないといけないので、例えば退所後に得た報酬の一部を〇年間支払う(在籍年数の期間)などをして還元すれば良いのでは?と思ったり。

そうすれば優秀なタレントをたくさん輩出した事務所は何もしなくても何年かは収入が入ってくることになりますので育成にも力が入ります。

もちろん事務所を文字通り移籍するなら同じように「移籍金」が支払われるべきです。

YouTuberを始めとして個人でもネット、SNSを駆使すれば有名になることが可能になった、そんな光景を見た従来のタレントたちも自分の力、意思で活動したいとフリーになりたいと思う人も増えてきている・・・、

こんな現状である以上はもはや上記のような還元システムでもないと事務所がそこまで新人育成に力を入れる動機は薄いのでないでしょうかね〜?

あと残るのは「スクール・養成所ビジネス」と言われる建前上は新人育成をうたっている施設だけしょう。これはこれで人が集まれば非常に儲かるビジネスなので志望者が気がついてしまい全く集まらないとならない限りは完全には無くならないのではないでしょうか。

この記事でも書きましたが↓

演劇界はどれだけ『人材教育や育成』に力を入れているのか?

 

芸能界に限らずどの分野でも「新人教育・育成」などやらなくていいならそれに越したことはないと皆んな思っているということです。

やりたがるのは「スクール・養成所ビジネス」のように儲かる時だけです。

それだとなんだか悲しいということで何かしら「還元されるシステム」が必要なんじゃないか?というお話でした。

では今回は以上になります。ここまでお読みいただきありがとうございました。

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