【俳優やミュージシャンのための保険】 東京芸能人国民健康組合なんてものがあるらしい

演劇コラム

今回の記事はこのブログの特徴であるエンタメ・演劇分野にビジネス視点を絡めた内容とは外れるのですが、

働く上では大切なことなのでシェアしたいと思います。

ここ最近、音楽方面での訃報が相次いでおります。
もちろん「もう年齢的にも仕方がないか・・・」なんていう歳ではなくまだまだ十年以上はやれるんじゃないかと勢いの衰えていない方達です。

特にBUCK-TICKのボーカル櫻井 敦司さんの突然の訃報は日本中が悲しみに包まれました。30年以上の活動歴があり、しかも結成からメンバーの脱退・変更もないかなり稀なバンドとして世代を超えて支持されているバンドです。

こんな知らせがある度に挙げられる声として、
他のミュージシャンは本当に健康に気を遣ってくれ!」だと思います。

自分で出来る範囲で健康に気をつけている人はいると思いますが、こういう人達と一般の、就職している人達の違いとして定期的に健康診断を受けていることではないでしょうか?

会社に就職すれば毎年この月に受けてくださいと通告が来ます。アルバイトでも大きい会社だと社会保険に入り受けることになっています。

しかしこういったミュージシャンや、他にも俳優などエンタメ分野を仕事にしている人達は個人事業主なので、そんな健康診断を受けてくださいと上から言う人はいません。

つまり長い期間、受けることもないまま歳を重ねる人も珍しくないんですね。自主的に受けるにしてもお金がかかりますし、この手の世界で活動していきたいと思っている人は良い意味でも悪い意味でもそんな将来を気にせず『今を生きる』みたいなスタンスの人も多いので、性格的にもなかなか率先して受けるお利口さんはいないなんて側面もあります。

こんな中で下記のポストが注目を集めました↓

 

凛として時雨のドラマー、ピエール中野さんの発信です。
バンドマン向けの国民健康保険はあるよ!」とのことです。

その名も、
東京芸能人国民健康組合

ホームページを見るとテレビ放送開始の前年より立てられたらしく、かなり歴史は長いです。

首都圏に住んでいるバンドマン、ミュージシャンの他にも俳優・声優も対象として入っています。

で、ここでちょっと驚いたのが「加入者数」です。

8,502人(うち組合員 4,798人、家族 3,704人)

組合の概要ページより

どう考えてもめちゃくちゃ少ないです。
なんで少ないかと言えるのかは、今までも・・・、

年間通して声だけの仕事で生活できる人は300人以下、
その枠を巡って約一万人の声優たちで争っている、

なんて例えを出してきましたが、見ての通り『声優』という狭い括りだけでも一万人くらいの人がいるのではないか?と言われているのに加入者はそれ以下です。

この組合はステージに立つ演者のみならず裏方スタッフの仕事をしている人も入ることができるようですので、(→「加入者条件」)

そんな広義にエンタメの世界で働いている人達を対象にしているのに、現在の加入者数が声優として活動していると言われる総数以下というのはやはりちょっと少ないんじゃないか?

こんなに少ないのも当人にその意識が薄いというのはあると思います。

これも何度も申してきましたが私達は学生時代は就職することを前提とした教育を受けています。

就職すれば向こうから勝手にやって来るものたちが、この道を選んだことによって自ら調べ上げて手続きをしなければいけなくなります。

自由と引き換えになんでも一人で対応しなくてはいけない、とでも言いましょうか。

しかも一応はミュージシャンや俳優、声優になりたい人に向けた専門学校、養成所というものはたくさんありますがそういう所でも「この道を進むということは私達はどういう立場になるのか?」というのを軽くでも触れる授業があるかと言われたら多くは採用していないと思われます。

いくら生徒が求めていない内容のものだったとしても、この分野で仕事していきたいなら多くは社員として雇われることはなく個人事業主になるので確定申告のやり方を調べないといけないよ、老後に備えるなら年金も個人事業主向けの基金に加入しないといけないよなど、就職すれば守られる保障がない、やらなくて良いことをやらないといけなくなるというのは教えても良いんじゃなかろうか。

株の投資をするにしても必ず「こういうリスクがあります」というのは事前に承知していますよね?

それと同じくこの道を選ぶということは「こういうリスクがあります」というのを説明するべきではないか。高い学費を払っているんだからそのくらいの親切さはあってもいいかと。

それを卒業してから数年で何かをきっかけに気が付き慌てるよりも、事前に知識だけでも身に付けておいた方が心の準備ができていて良いに決まっています。

このブログではそんな学校や養成所では教えてくれない知識、心構えを解説する記事がたくさん詰まっていますので是非ご活用ください。ご質問・ご相談があればコメントなりでどうぞ。

この、ステージに立つ際に持っておいた方が良い技術についてはたくさん教えてくれているのに、事務的で地味だけども絶対に大事なことである知識は誰からも、どこからも教えてくれない環境に違和感を持ったことで私の今の活動があります。

これにより、この演者が無知であることを悪用して不利な契約を結ばれたなんてことはこれまで山ほどあったことでしょう。

最近だと代表的なのは契約上は個人事業主としての契約なのに全くこちらに裁量権はなく、これはもう実質労働者としての処遇に等しいのでこの契約は無効だという判決が出ております。

 

ということで今回はちょっとベクトルを変えて、
エンタメ分野で働く人のための国民健康保険でした

無職や自営業の人でも必ず入る保険で国民健康保険がありますが、一般的にこういう同業者で構成されている組合保険の方が手厚い保障が受けられるはずです。

それこそ健康診断を受ける時に補助金が貰えるなど。

これをきっかけに健康について目を向けてくれたらなと思います。

ちなみに画像でピエール中野さんの本名がバレていますし、芸名と本名が併記なので覚悟が必要だと言及していますが今はその辺の配慮はされているそうです 笑

知識を身に付ける、技術を磨くのも大事ですが一番大事なのは、
健康を維持する」ことだと私も思っているので今回はこんな記事を書きました。

健康を損ない身体が不自由になった、定期的に病院に通うことになり薬代が・・・などは高い目標を掲げる人にとってはとてつもなく重くのしかかりますし、最悪それで活動を断念することもあり得ます。

目標に向かって無我夢中に働くのも良いですが、それで倒れないように気をつけましょう!

では今回は以上になります。ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

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