映画ファンからしてみればおそらく強くオススメするほどの映画ではないと思います。
個人的にもこれを一発目に紹介するのは・・・と思ったものの最近、観た映画というのもあり、いまだにとても感銘を受けた感覚が残っているシーンがあります。
このブログの趣旨は俳優・声優にとって、演技の勉強をしている人にとって観ればためになる作品を紹介をするという趣旨があるのでそういう視点からこの映画を選びました。
では先ずはこの「テッド・バンディ」という映画はどんな内容かと言いいますと、アメリカの犯罪史上の中でもかなり極悪な殺人鬼として知られる、
実在した犯罪者を題材にした映画です。1974年から78年まで女性を30人は殺したと言われています。
「シリアルキラー」という言葉が生まれたのもこの殺人鬼がきっかけです。
ここだけを読むとグロテスクなシーンが多い映画なの?と思うかもしれませんがご安心ください。そんな残酷な殺人シーンはこの映画では一切出てきません。殺人鬼を題材にしていますが微笑ましいシーンがあるくらいです。
えっ、じゃあどんな映画なの?と逆に不思議に思うかもしれませんがその殺人鬼に恋をした、そして殺される事がなかった女性視点で物語は進むという展開になります。
そう、この殺人鬼、女性にめちゃくちゃモテたという事で描かれています。だから女性を30人も殺す事ができたと言えるのかもしれません。容易に近づき、親密な関係になる事ができたという意味で。
この事から映画では(実際もそうだったのでしょう)決してとても何十人も殺した極悪人とは思えない描写も数多くあります。
それどころか確かに女性だったら守りたくなる、構いたくなる男かもしれないと思わされます。
そんな風に物語は進むと実話を元にしているので結果は知っているはずなのにこの男は無罪なんじゃないか?という状態まで一瞬、陥ってしまいますし、そうであってほしいという気持ちに流されてしまった人が観ている人にはいたかもしれません。
終盤は数々の殺人容疑にかけられて逃亡するも遂に捕まり裁判で決着をつけるシーンが中心になっていきます。
その裁判の様子がなんと映像として残っていて、EDではその実際の映像が流される事になります。
このEDまでは最後までは気になって観る事ができたけど、この男が抱えている心の闇みたいなのがはっきり分からずなんでこんな殺人鬼になってしまったの?という疑問や、なぜヒロインの女性は殺さなかったのか?など疑問ばかり浮かんで決して気持ちの良い終わり方ではないのですが、そのEDで全く違う角度からの奇襲で鳥肌が立ちました。
その記録として残っている映像を、映画では完全に再現していると分かった時、凄まじいものを観てしまったという感覚に襲われました。
このブログでは演技を上手くなるための手段の一つに日常生活を人前で再現する、イメージする台本の役と近い人物を見つけたらのなら役作りの参考としてその人の動きや、声のトーンを真似をしてみてみるのも有りだと書いています。(参考「日常、感覚の再現」)
人によってはただ他人の真似をするという事に抵抗があったり、そんな普通に過ごしている姿を意識的にやってみて何が凄いの?なんて思う人も中にはいるかもしれません。
が、この映画を観る事によってその真似をする、実際の映像を元に俳優陣達がそれをそのまま再現してみせるという事がどれだけ凄い事、技術なのか理解できるきっかけになる映画になると思っています。
よく考えてみれば世の中にはモノマネ芸人という括りがあって、ある有名人の物真似をして似ていれば「すごーい!」って称賛されますよね?その何が凄いかというのはこの説明でもイメージができたと思いますが、それとはまた一味違った真似と言いますか、俳優が目指す真似とはきっとこういう事なんだろうなって気づかせてくれた映画でした。
真似をするよりも自分の個性を出したいとか、自分がご飯を食べるだけの場面をやるだけなんてつまらないと思う方も、これを観る事によってそっくりそのまま再現するという事は、それだけで実は凄い事だと思えてくるはずです。
演技の参考になる映画として気になった方は是非観てみてください。
紹介した映画↓
コメント
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