今回は演劇をやる上で非常に大事なアイテム「台本」を渡された時に先ずは何をするべきなのか?を書いていきたいと思います。
これをしっかりとした上で稽古を重ねていけばやがて深みのある演技へと繋がっていきますので是非おさえておいてください。
どこでもやってくださいと教わる事。
これは、おそらく日本全国の演劇を教えている場でやってくださいと言われていると思います。
僕の通っていた専門学校でも指示されました。
例えワンシーンを切り取っての稽古だったとしても最低限、このくらいはしてくださいと教えられるはず。そんな事は言われませんでしたというなら正直、頭を抱えます・・・。
また俳優の卵と言われるような立場の方々達が演劇を学ぶのなら「古典」と言われるような台本を与えられて稽古をするという機会が一回はあると思います。
やはりシェイクスピアの「ハムレット」チェーホフの「かもめ」が代表的ですね。これらでしたら本屋に行けば直ぐに手に入りますし。
ではそのような台本を使い稽古する事になりました。
僕、個人としては客として、読者としてまっさらな状態のうちに作品を読んでみるという事を一度するのですが、その点は人それぞれということで詳しく書きませんがこの作業は人によってやらないというのは有り得ない事です。
それが、
リサーチ、下調べと言われる作業。
ハムレットは1600年代に書かれたと言われています。かもめの舞台はのロシアです。
しかも今から100年以上前の。言うまでもなく当時を知る者はもういないですし、どれだけの人がロシアという国を知っているのか?
台本を貰ったものの今の人たち、特に日本人にはなかなかどういう国、世界、時代だったのかパッと想像できない時に書かれた台本、役を演じなければいけない事は必ずあります。
だからセリフやシーンという意味での台本分析をする、その前に該当する時代、国を調べる、リサーチをしなければいけないのです。
これは時代が古ければ古いほど大変だと思います。古ければ手に入る資料もそんな多くはないでしょうし。
もしも本格的に公演をやるとなると衣装、当時の人達はどんな服装で暮らしていたのかも調べないといけないのでより範囲は広くなります。
予算が多い公演でもない限り当時の衣装を完璧に再現する必要はないと思いますが、それでもなんとなくの雰囲気は出さないといけないので頭を悩ませます。
このように台本の舞台となっている国と時代、服装が主に調べる項目ですが、他にも役が就いている職業がはっきりしているならそれについても・・・、とその気になればいくらでも時間はかけられます。
とはいえ我々は地理、歴史の勉強が目的ではないので限度も考えましょう。
「こんな時代だったんだ〜」と感心できればそれでも良い部分はあります。
ただ俳優としてこれらの事を全く知らないまま演じる事は台本、役に失礼だというのはごもっともなのは間違いないでしょう。
あとは文化圏が違う人というのも忘れないように。日本人の感覚では理解できない台詞、描写も欧米の人だと普通なのかも・・・という視点を常に持ちましょう。
注意するべき点としてはこのコロナ渦で学んだ事、
「一次情報に触れる」という事です。
インターネットで調べるのを否定するわけではありませんが深く、厚みのある情報が欲しければ図書館に行って探すのもお勧めします。特に一国の歴史、時代背景についてはインターネットだけでは物足りないというのが感じたことです。
他にもやはり映像として何か残っているのがあれば是非見てみましょう。一番は映画化されているならそれをみる事かもしれませんね。ハムレットならその点は困らないでしょう。
そして時には何処かへ足を運ぶ必要性がある事も頭に入れておいてください。
タイミング良く同じ台本がどこかで上演される場合もあります。
それ以外にも別の記事で書きましたがあるシーンで役が海を眺めているというシーンがあるなら、実際に近場に海があるならそこへ行き海を目の前にしているというのはどういう感覚なのか体験してみましょう。
稽古に入ったらその体験、感じた事を呼び起こしてそのシーンで生かせばいいのです。
これが感覚の再現というやつです。
日本が舞台で実在する地名、場所が明記されているなら行ってみるのもいいと思います。
ざっとこんな感じでしょうか。
後は役が趣味にしている事や好きだとはっきりと言っているけど、自分はそれについて知らないのであれば調べる必要がありますし、全体として必要なリサーチとは別に役別で必要なリサーチもあるでしょう。
なるべく役は知っているのに、見た事あるのに自分は知らない、見た事がないという部分は減らしていく。
大変そうだな〜ときっと思うでしょうが一人の人間を演じるというのはこういう事なんだと思います。
たとえ日本が舞台で時代も現代で自分が今、生きている世界の台本だったとしても、役の実家が聞いた事ない所、初めて聞く職業が出てきた、役がひきこもりなど・・・、
何かしらこれは知らない、ピンと来ない箇所があると思います。
しかし書いた作家自身はこれらの事をしっかりと必要な範囲で調べて作品に取り入れているはずなので、なら俳優も同様に必要があるなら調べる必要があるのです。これらの作業は俳優に限らずどんなクリエーターも作品作りに取り掛かる前にやっている事なんですよね、きっと。
まとめ
ではまとめです。
台本を渡されたら最初にするべき主な作業として・・・、
その台本の時代、舞台となっている国、地域、歴史、古い時代なら当時の衣装や暮らしぶりを主に調べる。
調べる方法としてインターネットを使うのも有りですが、図書館へと足を運び重厚な、間違いなく信頼できる資料に触れる事もした方が良い。
同じ台本が上演される、実在する場所があるなど、場合によっては実際に何処かへ出かけて生で何かを見る、聞くのも効果的。
役別で調べる事もある。例えば就いている職業について、熱く語れるくらい好きな趣味など、役は知っているのに自分は知らない項目があるなら役の理解のためにも知るべき、など。
では今回は以上になります。最後までお読み頂きありがとうございました。
※ここまで公開されている記事を読んで疑問に思った事、質問してみたい事が浮かびましたらお気軽にお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
その場合は「記事のタイトル」を明記して「この記事のこの部分が分からなかった」など具体的に書いてくださるとこちらも的確な答えをしやすくなります。
もちろん記事の内容に関係なくとも単純なあなたが抱える演技に関する悩みなど、演劇に関する全般のご意見も承っていますのでどしどしとお送りくださいませ。
質問内容にもよりますが1、2日以内にご返事できるように心がけます。
コメント