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「声優になりたくばまずは声優専門学校へ」。どうもこの考え方が声優志望者の間では常識になりつつあるようです。学校のプローモーションがうまくいっている証拠だと思いますが、これはただの思い込みです。
確かになぜだがこの認識が刷り込まれているように、誰もがその発想になります。
わたくしも小学生の頃に声優になりたいって無邪気に思って、どうすればなれるのか?って考えたら「先ずは演技の勉強をしなきゃ」と思うのはまぁ、自然の流れかなと思い返します。
それでそういう学校や養成所があるのならそこへ入って・・・と誰もがその道が正しいと信じて疑わなくなるのでしょうが、この本を、このブログを読めばそんな学校卒業者がなれる、制度が整えられた世界ではないのはもう嫌というほど理解していると思います。
「消防士になりたい」「飛行機のパイロットになりたい」という目標と同列では語れないのがこの「声優になりたい」「俳優になりたい」「芸能人になりたい」なのです。
マウスプロモーションの現社長・納谷僚介氏が、あちこちの専門学校に講師として呼ばれるたびにする話があると言います。
「声優として売れるには色んな入口や方法があります。専門学校に入らなきゃいけないなんて決まりはありません。学校に何年も通う時間があるのならむしろ、うちの事務所の門を直接叩いて『ボイスサンプルを聞いてください』って言えばいいじゃないですか。少なくともマウスプロモーションには、そういう方法でデビューして売れた子がたくさんいますよ」
僚介氏がこの話をするようになってから五年。実際に事務所に連絡をしてきた生徒はまだ一人もいないそうです。
それが許されるならそれが最短の道じゃないのか!?と思って年に数人くらいは現れても良さそうなものですが、5年間一人もいないというのはわたくしも驚きのエピソードですかね。
マウスプロモーションは小学生の頃に声優になるなら入りたい事務所だったのでわたくしがこの話を聞けていたら少なくとも検討はしたと思いますが、そこまでのハングリーさを持っている人が聞いている人にいなかったのは残念です。
ここから読めるのは「そこまでする必要はない」って思っていることなんですかね?
人によってはちょっと強引というか、相手方にも失礼だとかの遠慮も働いたかもしれません。
が、この世界はそんなちょっとした非常識と言いますか、奇抜な行動は「面白い奴がいるな」と捉えてくれる世界だと思います。だってまともに社会に出て働く事は無理そうだと感じた人がやって来るような世界なのですから、そういう変わった人がたくさんいるのがこの業界です。
そんな変わった人だからこの芸能という世界では価値を見出してくれるわけですが、そこを非常識だから、そんな事しても大丈夫なのかな・・・という常識的な意識が働いてしまったらそれすなわち私はこの世界には向いていない人間ですと宣言しているようなものだと思います。
この世界で求められるのはステレオタイプではない役者とこの本でもはっきり申しています。
たとえどんな学校でも高校卒業後は「専門学校へ行きたい」と言えば両親はそれが誰もが通る道だから許容してくれる場合も多いでしょう。
そういう認められた学校があるなら、勉強して卒業すれば道は開かれるのだろうという期待をして学費を出してくれます。
それに息子さん、娘さんは何をしているのかという世間の問いに「専門学校へ行っています」と答えられて世間体を保つ事ができます。
しかしこれが例えば金銭的には専門学校よりはるかに安くても、個人が経営している演技塾だと途端に資金援助を渋るので、手っ取り早く「格好」も付いて両親も納得してくれる道として「専門学校へ行くのが無難」なんていう発想になるのかもしれませんが、その道は全然無難ではないですが大丈夫ですか?、むしろ成功者が辿っている道とは大きく外れますよと警告します。
そう、よくこの世界で成功している人の経歴をWikipediaなどで見ると大きく成功している人であればあるほど、そんな専門学校へ行って、卒業後は養成所を経て事務所に所属というルートを辿っていない人もけっこう多いです。
1万人が受けたオーディションから選ばれた、雑誌のモデルから俳優の道に進んだ、中には街中でスカウトされたなんて人もいますし、それこそ事務所にボイスサンプルを送ったら認められて短期間のレッスンを受けてから事務所に所属というような人もいます(今が旬の「鬼滅の刃」の声優「花江夏樹」さんもこのパターンだと書かれています)
音楽だともっと顕著で有名になったバンドに音楽の専門学校で楽器の演奏技術を学んでからデビューした人なんて知る限り一度も見た事がありませんし、殆どが楽器は独学、せいぜい本を読んで参考にした、上手い人の映像を何度も見たと言う人がいるくらいです。
このようにそんな普通じゃあり得ないという感覚にもなるルートでこの世界に飛び込んだ人もいるわけですが、なら私は、僕は「普通のルート」から目指そうという発想は危ないと言いたいのです。
そもそもそんな「普通のルート」なんてこの世界には存在しないし、そんな普通じゃあり得ないような事を引き起こす、実現させてしまうような人こそこの世界でやっていける器があるとも言えます。
なので「凡人」ではなく「非凡」な人しか長く居座る事ができない世界だとはよく覚えておいてくださいませ。求めているのはそんな「非凡」な人なので。
声優学校や養成所というのは非常に儲かる商売です。学校には、生徒たちの将来の面倒をみる義務がありません。入った人間を必ずこのレベルのスターにします、入った人間を社員にして給料も支払いますといった契約を交わすわけではないのである意味気楽です。売れなければ「お前のせいだ」でおしまい。うまいことスターが出れば「ありゃあ俺んとこで育てたんだ」と言えばいい。それを広告塔に次の声優志望者たちがやって来る。はっきり言って、ローリスク・ハイリターンです・ハイリスク・ローリターンな声優業と比べてなんたる違いでしょう。
このように専門学校側にリスクはないが、いわばお金を払ったお客さん側にはかなりのリスクがある世界に入らせようとしています。
客が高いお金を払っても損をしているような状態だが、会社は客がどうなろうと儲かればそれで良いという姿勢のビジネスは長く続かないと思っていますが、この場合は一度お金を払ったお客がリピーターになる事はないので、また何も知らない客を集めれば良いと思っている、だからこの姿勢は改まらないのでしょうね。
とはいえこういうネガティブな情報はこのように本で声優界を代表する人が発信したり、僕のように注意を呼びかける人もいるはずなので、もう今の情報が溢れている時代で本気で専門学校に入れば声優になれると思っている人は少なくなってきていると予想していますが実際はどうなのでしょう?最近の事情に詳しい方はコメントなりで教えてください。
でも、学校で勉強して卒業しても声優になれなかったので学費を返してくださいと訴えても通る事はありませんし、それはあなたの努力が足りなかったからでは?と引用文のように「お前が悪い」と非情な事を指摘されてもその通りだという場合も多いです。
別記事で書いた通りどんなに時間をかけてもおそらく声優にはなれないだろうという人を多く入学させているので、この世界ではやっていけそうにもないと自己評価できない「あなたが悪い」となるのです。
だから僕はこのような学校を運営するなら人数を抑えて可能性を感じる人しか入れさせないべきだと思いますが、それは顧客側の意見で、儲ける事を念頭に置くならそんな選択は学校側にはないことでしょう。
では今回は以上になります。最後までお読み頂きありがとうございました。
引用・参考にした本↓
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