【人間関係とは】台本の読み方、分析「サブテキスト」後編

この記事は「サブテキスト」をテーマにした後編に当たる記事ですので前編をお読みではない方は、

「サブテキスト」前編をお読みくださいませ。

また次の記事でもこの前後編で使った同じ会話分を引用して深く掘り下げていきますので、このシリーズに興味を持ってくれましたらこの「サブテキスト」をテーマにした二つの記事と次回の記事、三つ合わせて読んでくれましたら台本読解の細かい部分の作業が分かるようになります。

では早速、中身に入っていきましょう。

役の小目的を決める。

 

このシリーズは全てが繋がっており以前、書いた記事の内容をここでも活用するという事が出てきます。

ここで言っておきますがこれまで書いた内容の事を最後は複合的に生かして自身の演技のクオリティを上げるという能力が求められます。

そろそろここまで書いてきた記事を複数読んでくださる方がいましたら今一度、理解しているのか確認した方が良いかもしれません。

この場合は「超目的と小目的」の記事で書いた事を先ずは決めていきます。未読の方はこちらを参照してください。

では「神崎浩介」という役に絞って分析を進めていきます。

 

○神崎の小目的。

・先ずなぜ拓実に話しかけてきた?

自分たちのバンドが作ったオリジナル曲がネット上で思ったより再生された。同じメンバーとしてこの事について一度は触れておかないと不自然である。

出鼻はこんな感じで良いと思いますがこれが神崎の小目的と言われるものかと考えたらちょっと違うような気がします。

どちらかと言えば話しかける切り口、動機でしょうね。

台詞を一通り読んでみて神崎の超目的は俳優になることだと言っております。

だからバンド活動は卒業も近くなっているし、そろそろお終いと告げている・・・、

おっと、見つけましたかね。このシーンでの神崎の小目的と言われるものは拓実に俺は卒業後もバンド活動をする気はないと言っておく事で良いような気がします。

神崎は普段の拓実のバンド活動の熱の入れようから、もしかしてこいつ、卒業後も音楽活動をする気なんじゃないか・・・となんとなく察していた部分はあるかもしれません。

そんな中で一つこの活動に対して成果が出た。これは今後も活動を続けていかないか?と誘える強い根拠になり得ます。

そう考えているかもしれないから、早めに拓実には俺は降りると言って自分には見切りをつけてもらった方が良いと思った。こんな感じでいってみましょうか。

そんな想いを胸に拓実に話しかける神崎。

ここでサブテキストについて考える。

 

遂にここでそのサブテキストについて考えましょう。

こんな作業をしてみてください。

自分と相手の台詞、その合間、合間に心の中で思っている言葉を考えてください。どういう事かというと・・・、

「よっ」

(自分の作った曲が何万再生されても相変わらず浮かれているって感じはないな)

そう挨拶をして神崎浩介《かんざき こうすけ》が隣に座った。
「おめでとう。上げた曲、なかなかの再生数じゃん。俺も一応メンバーの一人として嬉しいよ」

(あえて一応と言って牽制。実際のところどう思っているんだろう?)

「こんなに早くあれだけ再生されるとは思わなかったけど、あのクオリティだったら当然だろう」

(あっなんか、表に出ていなくてもそんなの当たり前だろうって思ってんのかな。拓実らしい)

「確かに。それは認める。そのドラムを俺が叩いた、俺は言われた通りに叩いただけだからそこまでじぶんごとのように思えないけど、やっぱりちょっとは自慢したくなるくらいは嬉しいよ」

(本当は知った時はけっこう舞い上がったんだけど、あんまり調子に乗って一番の功労者を不快にさせるのも悪いしここは謙虚にいくか)

「どう思っている?」

(どう思っている?、どういう意味?)

「えっ、何が」

(もっと分かりやすく言えよ。説明が少ない)

「その、自分のバンドオリジナル曲が一定の評価をもらって」

(あぁ〜なんかいよいよ本題に入りそうな雰囲気だな、なんて答えようかな〜)

「う〜ん、さっきも言ったけど、俺はいわゆるサポートメンバーみたいな位置付けだし、すごいとは思うけど、それをあまり俺がでしゃばるのは違うかな。逆に拓実はどうなの?」

(拓実よ、お前は本当にこのまま音楽の道を進む気でいるのか!?)

 

黒字で、()内に書いた部分が心の中で思っている事、そのサブテキストというやつです。

 

このような事を人間は瞬時に思い、そして瞬時になるべく失礼のないような言葉に変換して発します。

この例にあげた会話でも若干、本当に声に出したら相手がムカっとくるような言葉が混じってましたがそれを別の言葉に換えていますね。

これは一つの例ですのでもちろん別の人が考えたら違うものになるでしょう。

この違いが同じ役でも俳優によってキャラクターが異なる、個性へと繋がっていくような気がします。

別の言葉ではインナーモノローグと言ったりしているみたいですね。

そういうエクササイズがあるみたいで、同じように今度は相手役と一緒に、自分の台詞を言ったら心の中で思っている事を言うというのを交互にやって、内側に秘めている気持ちを浮かび上がらせていこうというエクササイズがあります。

これもなかなか面白いと思うので実際に口にしてみるのもいずれやってみるのも良いでしょう。

このサブテキストを通じて台本に書かれている台詞とは別に、なかなか口では言い出しにくい本音などの言葉があると理解してほしいという回でした。

まとめ

では今回のまとめです。

・台本に書かれているセリフというのはその役の本音ではない、どちらかと言えば建前の場合が多く、心の内に秘めている。

・その内なる言葉を抱えて演じていく事が必要なので俳優は事前にその言葉「サブテキスト」を把握しておく必要がある。

・それを正しく導き出すには先ずはその前の台本分析、

役の「超目的と小目的」であったり「前状況」「年齢」「時間や場所」も知る、決める必要がある。

ここまで意識して台本を読めばかなりいい線の演技ができると思いますので是非ご自身の演劇活動に生かしてみてくださいませ。

では今回は以上になります。最後までお読み頂きありがとうございました。

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