【演技】台詞のエクササイズ

どうも。最近は演技上達に繋がるエクササイズをご紹介した記事を書いているので今回も一つ加えていこうと思います。

スタニスラフスキー9つの質問」にはこんな質問があります(全ての質問が知りたい方はリンク記事へ)

What is in my way? = 目的を達成することを阻んでいる障害

あなたの役が持っている「目的」の達成へ向かう際に阻んでいる障害はなんですか?という質問になります。

基本的に舞台、映画の台本に登場する「」という者には何かしらの「目的」を持って台本の世界を動き回っているとされています。

そしてその目的達成を邪魔する何かしらの「障害」もほぼ間違いなく設けられています。この「障害」がありその困難を乗り越える、そんな要素が無ければ物語というのは面白くなりませんので。

そんな「障害」に立ち向かっていく姿に観客は心打たれるわけですが、どうも俳優が物語の世界に入りきっていない、役の緊迫した状況を自分自身のことのように思っていない、そんな風に見えてしまうことはよくあります。

まさにその「障害」に向かって今、立ち向かおうとしている良い場面、台詞があるならしっかり決めないと俳優失格ですよね。

そこでどうしても難しい、行き詰まっていると判断したのであればこんなエクササイズをしてみてください・・・。

(1)一人の俳優はある「目的地」に向かって歩いてください。
どういうことかというと、そこがある稽古場なら部屋の壁から正面にある出入り口に向かって歩く、そんなイメージです。

(2)その「目的地」に向かって歩く俳優を共演者なり共に稽古をしている皆さん3、4人くらいで胴、腹の辺りを掴んでその進行を阻止してください。やればわかりますがかなり激しく動くのであまり気を遣わないように男性、女性同士でやるのが良いと思います。

(3)そんな風にして「目的地」に向かうことを体を掴まれて邪魔されている状態で上手く言えない、肝となる台詞を喋りながらなんとか少しでも前に進もうとしてください。

これで嫌でも台詞を言う際に「必死さ」が加わります 笑
いわば外的に圧力を加えて半ば無理やり変えていこうというエクササイズになります。

役が「目的」に向かうのを邪魔している「障害」を物理的に表現したと言っても良いかもしれません。

さらにそこにあの「目的地」に辿り着かなければ自分はどうなってしまうのか?最悪の状況もイメージ、意識すれば「緊迫感・切迫した状態」も醸し出せるでしょう。

What will happen if I don’t achieve the objective?

目的を達成しなかったらどうなってしまう?」これも9つの質問の一つになります。

この発想は「身体的アプローチ」に近いものだと思います。参考記事→「内面的アプローチと身体的アプローチ

役の状況、心理状態は理解していてもそれを上手く演技で体現できないのであれば、「形」から、「身体」の姿勢を変える、外から刺激を与えて物理的に変えていく、簡単に説明すればそれが「身体的アプローチ」になります。

ちょっと強引な手法にも聞こえるかもしれませんが、これが本番が迫っている稽古であれば「時間もないし君が出来るようになるまで待っていられない」と厳しい通告を演出家から受けて、とりあえず形だけ、外見だけでもそれっぽく見せるような措置を取られる場合もあります。(現に二人ほどそのような扱いを受けた俳優を見てきました。こんな風に扱われたら次の作品には呼ばれない可能性は高いので必死に取り組みましょう。クライアントの要望に応えられない人が切られるのは当然です)

「役の気持ちがまだ理解できていないから台詞が覚えられない」

台詞が覚えられない理由の一つにこんな原因を挙げている人もいるのですが役、他人の気持ちなんてそう簡単に理解できないのは当たり前なんだからそんな弱音を吐く俳優は嫌い、そこまで断言してしまう指導者とも会ったことがあります。

稽古期間も一ヶ月弱と決して長くはなく、多くの場合は不安を残したまま、本当は時間があればもっとあのシーンを良くしていきたかったなど俳優それぞれ程度の差はあれど不完全な状態のまま本番を迎えることになります。

「自信あります、パッチリです!」と堂々と言える人は稀です。

そんないつもギリギリの状態で本番を迎えている人が多い中で時には綺麗事ばかりではやってられないってことです。

たとえ俳優の育成目的の場であったとしても同じやり方でいつまでも上手くできないのであれば別のやり方としてこんな方法もありだと個人的には思っています。

それにこの身体的アプローチで今まで掴めなかった感覚を掴めて、普通に台詞を言う時にも改善されるというのは全然あると思いますので、このような身体的アプローチも当たり前のように広まってくれたらなと。

別記事でも書きましたがこんなやり方は本来、気が進まないと公言している演出家と会ったことがるので人によってはネガティヴなイメージを持っている人もいるのでそんなイメージを払拭していきたいですね。

ちなみにこのエクササイズはどっちか忘れてしまったのですが「モスクワ芸術座」かイギリスの「王立演劇学校」の講師を招いたワークショップに参加した時に実施されたものになりますのでちゃんとした所でも演技指導の一環で取り入れられているものです。

では今回は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。

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