今回は声優になりたい=アニメ、ゲームにしか興味はないは危険!というテーマで記事を書いていきます。
私の肌感覚として声優になりたい=アニメやゲームキャラクターを演じたいが同義語になっている印象があります。
それもある意味では仕方がありません。
声優という仕事やポジションに注目が集まったのは「アニメ」がきっかけなのは間違いないでしょうから。
そういう私もそうです。アニメを通して声優さんのことを知って、遂にはアイドルを好きになるように好意を抱く人もいました。
アニメの人気上昇と共に、そのキャラクターを演じている声優も注目されるようになった。おかげで当初は顔を出すことは求められていなかったのに、イベント出演などでお姿をファンの前で披露する機会も急増した。それでもはや芸能人、アイドルとなんら変わらない存在に今ではなってしまったと。
このように単にテレビに声のみが流れる存在に留まらなくなってしまった声優はやがて子供が、アニメファンが憧れる仕事の一つになっていきます。
他にもテレビゲームが普及してから、テレビゲーム発の人気キャラクターも登場したのでそれも人気に拍車をかけましたよね。
「アニメ」「ゲーム」が一大人気コンテンツとして定着した、その要素には声優という存在も一役買っている、そんな背景があることから声優になりたいと言う人はつまりはアニメ、ゲームのキャラクターを演じたいという人でほぼ占めらるんだと思います。
だから、声優志望者の殆どはアニメ、ゲームにしか興味がないような人が多いです。
そのような状態で声優を目指すとある弊害が生まれます。
それが、
演技の引き出しが増えないとも言えるかもしれませんが。私が専門学校に通っていた頃、やはり人気があったのはアニメのアフレコ授業です。
対してあまり人気がなかった、選択授業であまり選ばれなかったのが演技の基礎を学ぶ、要は体全体を使って演技をするような俳優として演技をする授業です。
中には俺はアニメ声優になるんだから、それ以外のことを学ぶ必要はないと言わんばかりの姿勢の人もいました。
世間のイメージとして声優とはアニメ、ゲームキャラクターを演じる人というのがすっかり馴染んでしまい、まるでアニメ、ゲームが声優の全てだと思って目指す人がたくさんいるのですが、ここで認識を改めてほしいのがアニメ、ゲームキャラクーを演じるなんて声優の中のほんの一部だということ。
もっといえば俳優という仕事に、声のみの演技を要求される声優があるので俳優の一部に声優があると言いたいところですがここでは割愛します。
とはいえ、どういう方針で活動していくかは個人の自由なのでアニメ声優専門みたいなスペシャリストを目指すのも有りといえば有りなのかもしれませんが、ここで一つとても現実的な、個人ではどうしようもない問題があります。
日本動画協会の調べでは、2018年のテレビアニメ制作本数は332本となり、2年連続で減少した。 制作本数が2年以上連続で減少したのは、「アニメバブルの崩壊」と言われる2007-10年の4年間以来、8年ぶり。 テレビアニメの制作タイトル数は5年連続で300本を超えるなど高水準で推移するものの、近年頭打ちの傾向にある。(新日本法規(アニメ制作業界動向調査 2020年)のサイトより)
ちょっと前のデータになりますが2018年のテレビアニメ制作本数は332本だそうです。2年連続で減少したのは久しぶりと書かれていますが、それでもまだ声優の人気がそれほどでもなかった昔と比べれば本数は多くなっているのは間違いないと思います。
ここでは仮に一作品に毎話、必ず登場する役というのを「5人」としましょう。
332×5=1660人
大体、年間通してアニメのレギュラー枠というのは1660人ほど用意されているということですね。もちろん一話限りのゲストキャラや物語の前半、後半しか出てこないキャラも含めれば2000人以上にはなると思います。
これを多いと捉えるか少ないと捉えるかは人それぞれだと思いますが、客観的には少ないと私は思います。
最新の2022年版では初代声優名鑑の実に4.5倍となる655名に到達し、男女を合わせた総掲載人数は1658名(一路小屋へ)となった。(JIJI.COM(声優名鑑2022)より)
目安として声優名鑑に掲載されている声優さんの人数が参考になると思いますが、なんと最新の声優名鑑に掲載されている人数は1658名と書かれています。
つまり最初に出した数字に当てはまれば、この冊子に載っている声優さん全員にそのアニメのレギュラー枠を振ってしまったらそれでもうその年のアニメの仕事は満員になることを意味します。
が、普通に考えれば皆んな平等に仕事を振ろうなんていうことにはなりません。その年に作られるアニメのキャラクーにマッチした声が選ばれます。
しかもこの数字の恐ろしいところは、たとえ皆んな平等にお仕事を振ったとしても一人、一作品しか年間通してレギュラーの役を振ることができないのです。
一年間で一回のアニメのお仕事でその年は生活できるくらい声優のギャラって高いのか?ってもちろんそんな都合が良いわけがありません・・・😓
ギャラに関する内容はこちらの記事を参照→「俳優・声優だけの仕事で生活できる量は?」
さらにここで紹介した声優の人数はあくまで「声優グランプリ」という雑誌の付録についているもので、正確な声優の人数を表したものではありません。ただアニメファンであれば誰もが聞いたことがある、知っている声優さんばかり厳選したものと思われるので誰この人?と思われる声優さんが載っていないという意味では、有名になれる人はこのくらいの割合だよという指標にはなるかもしれません。
実際には1万人くらいの人が「私は声優として活動しています」と名乗り日々、お仕事はないかとチャンスを伺っていると言われています。
この事実だけでもアニメのレギュラーを一役、勝ち取るのにどれだけ厳しい倍率か分かってくれたかと思いますが、なんとかやっとの思いでその枠を一つもぎ取ったとしても、それで収入を得られるのは多くはワンクールかツークール=三ヶ月or六ヶ月間だけでしょう・・・。
たくさんアニメを観てきた人であれば分かると思いますが、殆どのアニメは12話か24話あたりで一旦、終了します。人気があれば続編が作られると思いますが。
昔は一年間、もっと長い期間、放送されたアニメというのもたまにありましたが今ではテレビの視聴率も昔ほど高くないのでそんな長い期間、放送されるアニメは昔から人気がある名探偵コナンやサザエさん、ドラえもんなど国民的アニメだけの特権だけでしょう。
当然、アニメが放送終了したらまた次のレギュラー枠を手に入れなければなりません。しかし、繰り返しアニメのレギュラー枠というのは現状、声優として活動している人数に対してその枠というものが少なすぎるという現実がある・・・はっきり言って今の競争率を考えたら一度でもレギュラーになれたの凄い!と人生の自慢話として永遠に語れるレベルです 笑
こうなってくると、もしも声だけの仕事だけで生活していきたいと思っているならアニメ以外の仕事もやっていかないと難しいと嫌でも痛感します。
そんな状況だと分かった時に、アニメに特化した演技しかできなかったら非常に困るということですね。
重厚なドキュメンタリー番組のナレーションにはもちろん可愛いアニメ声なんて求められませんし、学生向けの音声教材にイケメンボイスは求められません。
まとめ
多くの人が声優になりたい=アニメ、ゲームキャラクターを演じたいと声優を目指すが現実的に考えて、やりたい仕事をアニメ、ゲームに絞ったらあまりにも仕事の数が少なすぎるという動かせない、変えられない物理的な事情から、せっかく専門学校などで演技の訓練を受けても全くそれを生かす機会が訪れない事態に陥る。
それに備えてアニメ、ゲーム以外のジャンルにも興味を持って芸の幅、演技の引き出しを若いうちから広げていくことを心がけましょう。
では今回は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。
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