ここまで上げた記事がいわば演技が上手くなるための訓練「基礎編」にあたるものになります。
まだ全てに目を通していない方はカテゴリ一覧からアクセスして読んでみてください。なかなか良い情報が書かれているはずです。
この記事ではおさらい、復習という事でこれまで書いてきた事をまとめてみましょう。
身近なところから、自分を知る事からスタート。
自分とは一体どういう人物なのか掘り下げてみましょう。ただ自分の胸の内にしまうよりも分析したものを他人に教えるとなった方がより力を入れて考えると思うので「自己紹介」という形で発表もしてみましょう。それにプラスして「他人に興味を持つ」事を目的としてその自己紹介を聞いた他の参加者は気になったこと、疑問に思ったことを質問する。
自分を知るその2。日常、行動を再現してみる。
俳優の仕事の一つに役、人間の日常を再現するというのがあります。では自分は普段どのようにして生活しているのか?それを振り返ってみて再現をしてみましょう。
代表的な行動として食事をする時、歯磨きをする時がやり易いと思います。小道具は使わずエアーでやってください。このシーンを見るだけでその人の性格なんかも少し見えてきます。
これを応用して、ではこの役の場合はどうなんだろうと想像してみればキャラクターなんかも浮かび上がってきて芝居方針が見えてくるかもしれません。このように自分を知るのはなぜか?と聞かれたら役との違いをはっきりさせるためと一つ言えるかもしれません。役を演じるというのは別の、自分ではない生きた人間を演じること、違う人間なんだから自分と言動が同じはずがないという当たり前のことですね。逆に自分を知れば役との共通点なんかも見つけやすくなりますよね。
自分として即興。目的を意識する。
演劇のエクササイズ、訓練では即興をよく用いられます。ここでも自分として演じてみましょう。
ここで演劇を続けていくのなら一生、意識しなければならない大事な事を学びます。それが目的。台本上の役には必ず「目的」があると言われています。それを知らず演じる事など演じる事を放棄しているに等しいです。台詞の言い方とかそんなものを必死に練習しなくても目的さえ掴んでいて、それを腹の中に据えてその場にいればそれだけで十分です。
台詞は決められておらずその目的だけを持って即興をするというのは演じる俳優にとっては理想的な状況と言えたりもします。
なぜなら厳密に言えば俳優は次、相手役がなにを言うのか知っていても役は何を言うのか予想はできても基本的には知りません。
そうであるなら俳優だって相手が何を言ってくるのか、そのドキドキハラハラ感を持って演じれた方が良いものです。即興劇でお金を取っている公演も存在しますが、そうは言っても劇作家が緻密に、命を削って考えて作った流れに沿って演じた方が最終的にはクオリティが高いものを作れる場合は多いから殆どの公演が台本を使うのであって、やはり即興というのは悪い言い方をすれば不安定で収拾がつかなくなる場合も多々あるんですよね。
でもその即興をやる時のような何が起こるかわからないドキドキ感は持っていてほしい。だから最初のうちに即興をたくさんやってその感覚を台本を持った時も忘れないでほしいという狙いがあります。
ステータスという制約を付ける。
自分として即興をするというのにステータスを付与してみましょう。自分ではない何者かを演じる第一歩としてステータスを与えるとそれが簡単にできてしまいます。
普段はおとなしい、他人を優先する控えめな人が例えばこの中であなたが一番偉い、地位が上だと見ている人に思われるように振る舞ってくださいと言われたらどうしますか?どうすればいいのかあれこれ考えますよね。これが役を演じる上でも同じ事が起きます。
役のステータスは?というのも台本分析の上では重要な項目です。それがわかってそのステータスに相応しい立ち方をするだけで先ほども言ったキャラクターが自然と見えてくるものです。それぞれ与えられたステータスで立ち振る舞ってみる、ここで普段の自分とはかけ離れたステータスを与えられたらその演じづらさを実感して、役を演じるとはこういうものなんだと経験してみてください。
ディスカッション、フィードバック
これらをやっていく合間、合間に疑問に思った事、気がついた事はどんどん発言、質問させる。また他人のやっている所を見てどう思ったかなどディスカッションする時間を作る。
教えている側がコメントするのと同じくらい教えられている方達にも発言の場を設けさせてください。本当に上手くなりたいのなら他人から言われた事をただやるのではなく自分で考えて、意見を言う事ができるようにならないと自立した俳優にはなれません。勇気を持って発言しましょう。
ここまで書いた事を2、3ヶ月は繰り返しやる。特にステータス、即興部分。
そう、当たり前ですが一回やって終わりなんて事はありません。何度も何度も繰り返しやらないと身に付くものも身に付きません。
特に即興とステータスは何度も繰り返しやるべき事だと思います。
もしも僕が週に一、二回でも集まって指導する俳優塾を運営しているなら最初の三ヶ月、4月から始まって世間的には夏季休暇に入ろうとする時期までは繰り返しやっても良いんじゃないかと思っております。
本気で教えている人達には上手くなってもらいたいと思っている方は言います。
「こういうものは年単位で継続してやらないと身に付かなない」と。
よくある演劇のワークショップだと長くても一週間だと思いますがそのくらいの期間だけではっきり言ってとても足りないんですよね。
他のスポーツなどの習い事に当てはめれば、上手い人と言われる人達はたったそれだけの期間で上手くなれたわけではないと思います。プロまで登りつめた人だったらもっと、小学生、中学生、高校生とずっと練習してきたからなれたはずです。
そうなるとこの演劇も何年間と練習、訓練を積み重ねないと上手くはなれないわけですが、演劇に関してはそういう場は少ないですよね。
あるとすれば演劇部がある学校で、けっこうガチでやっていて、全国大会なんかも目指している所か、高校を卒業して専門、大学、養成所に通う事になると思うのですが、そういう場でしっかりとした理論、方法で教えていないという現実があるから僕みたいな、こうやって教えてねみたいな事を発信し始める人が出てくるのす 笑
まぁ、学校の演劇部、大学に関してはプロを養成する場では必ずしもないので良いですが、明らかにプロになりたいという人、集まれみたいな宣伝をして入学者を募っている専門学校はほんとそれ相応のカリキュラムを組んでほしいと思います。
10代、まだそこまで経験がない人の方がやはり吸収は早いです。これがもうある程度の演劇経験があり、本番の舞台も立っている人だと既に何かしらの、自分なりのスタイルというやつが出来上がっていて、なかなか取り除けない余計な癖が付いている場合も多く教えるのに苦労したりするそうですし。
きっと『本物』の教育を受ければ「なるほど!」と感銘を受ける事もあるでしょうし、それで終わった後はなんだか上手くなれた気さえしてしまうのですが、「よし、これからだ」と思ったところで「今日でこのワークショップは終了です」なんてなったらせっかくの勢いも萎んで結局、知識としては身に付いたけど体得までには至っていない、なんていうのは勿体ないと思います。なので僕は継続的に、ある程度の長い期間「本物」の演劇教育が学べる場を所望しますね。
では今回は以上です。最後までお読み頂きありがとうございます。
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