【演技上達への道】「ディスカッション」

ここまで幾つかのエクササイズ、訓練法を紹介してきましたが今回はそのスタート時、合間、終了時に設けてほしい時間をご紹介します。

これを行う事により指導者からの一方的な指導を防ぐと共に、参加者の考える力、発言する意欲を鍛えて、現段階での理解度などを計る事もできる事でしょう。

 

では何をしてほしいのか?それはタイトルの通り、

ディスカッションをしよう。

 

他にもフィードバックなんて表現でも良いでしょう。

講師と参加者、一緒のクラスの人たちと討論や指摘をしてきましょうって事ですね。そして講師には教えている人達に、

質問タイムを作る。

 

一つの流れといたしましては・・・、

1、始める前に前回、やった内容で質問はないかと問うてください。質問じゃなくてもこう思いました、気付きましたなどの意見でも良いので発言の場を作る。やってきた事とは関係はないが演劇に関する悩み、疑問、純粋に聞きたい事なんかも受け付けてもいいと思います。

初心者であれば分からない事だらけのはずです。質問、疑問に思っている事がないというのは学ぶ姿勢として正さなければいけないと思ってください。些細な事でもいいです。ここでもう時間が無くなるのでストップしますというくらいになってもおかしくないと言っておきます。

講師目線だと当然、どんな質問でも何かしらの返事ができる用意が必要なのは言うまでもなく。ここで今まで自分は何をしてきたのか?が試されると思ってください。

2、レッスンが始まり今まで書いてきたエクササイズなりを実践してひと段落したら一旦、止めて今度は今さっきやった中で気がついた事、感じた事があればそれを発言させてください。そしてその言った内容に対して講師がコメントをする。またそのエクササイズの内容を見ていた人達がいるなら、どう思ったのかだったり、こうすれば良かったのでは?あの演技はよく分からなかったなどの意見を貰ってください。

ただ指示された事をやるだけではなく自分はどう感じたか、他人のやっているのを見てどう思ったか、ここは上手くいったと思うけど、あそこはできなかったなどの自己評価、とにかく様々な意見が飛び交う時間を何度か盛り込むというのがやってほしい事です。

日本だと学校教育ではなかなかこんな授業、時間はなく、少なくとも当たり前ではないと思うので馴染めないかもしれませんが、演劇教育ではわりと主流です。

あなたはどう思うのか、思ったのか?この部分は非常に重要視します。間違った発言など基本的にないと思ってください。演劇においてあなたがそう思ったのならそれも一つの答えになります。

そんな自分なんかの意見なんか・・・とかあの人にこんな事を言うのは・・・とか変に遠慮してしまうのが日本人だと思いますがここではその殻を破りましょう。講師の方もなんでも受け入れるという器の大きさを示してください。

3、そしてこれを何度か繰り返して、終わり間際にも今日やった事の総括として同じように意見を求めて終了、次回も1のように前回で何か言えなかった事、数日経って気づいた事、疑問に思った事を聞いてからスタートしてください。

まとめ

 

このようにしつこく言いますがあなたはどう思いますか?考えますか?という問いに対して常に答えられるように準備、アンテナを張っておくのが大事になります。何にも答えられないというのはプロの俳優を目指すならかなり芳しくない状態です。

普段からできる訓練として時事ネタに対して自分はこう思う、この社会問題について自分の考えを言えるようにするなどがおすすめです。それをツイッターなどで発信するといいかもしれません。

正解や優秀な意見を求めているのではなく『あなた』はどう感じるのか、考えるのかが大切だと強調しておきます。慣れてくればいきなり機を見計らって手を上げて「質問があるのですが」と言えるようになって、もう質問するのが当たり前という認識を持てるといいですね。

日本の社会だと少し前に話題にもなったりしましたが、会議などの場でいちいち余計な発言、意見を言ってくる人を煙たがる風潮もあったりしますが、演劇教育の場では全く発言のない人に対しては、

もはや「大丈夫ですか?」

と心配されるものだという認識で埋もれないように感受性、豊かになるようにしていきましょう。

ただ注意点として今は教育する場であるという事でこのような時間を作っていますが、これがもしも公演に向けた、演出家という立場の人がいる稽古だった場合は基本その演出家の言うことが絶対なのでもしも自主稽古をして、共演者から様々な意見、この場合はダメ出しと言う方が適切かもしれませんが、それを全て受け止めると混乱して演技に迷いが生じると思うので演出家の言うこと以外は耳を貸さないくらいの姿勢でいいと思います。

お客さんからお金を取る公演の稽古は残念ながら教育の場ではありません。とにかくお客さんに来て良かったと思わせる、そこだけに神経を集中させていきますので、それに備えるためにも事前の準備、訓練というのは必要なのです。

もしも次の稽古で自主稽古で出たアドバイスとは真逆の事を言われたなんてあったら目もあてられませんしね。

ただこういうアイディアがあるのですがどうですか?と提示するのは有りだと思いますし最初の稽古段階ではまずは俳優の自由にやらせる演出家もいますのでここら辺は様々なパターンがありこれは一つの、僕の考えだと言っておきます。が、それでも最終的には演出家の要求に従う事になるのは変わらないと思いますけど。

では、最後は余談で終わります。ここまでお読み頂きありがとうございました。

 

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