【ギャラ】俳優・声優だけの仕事で生活できる量は?

俳優・声優として「売れるには?」
こんな一節を読みました。

どんなにうまく調整できたとしても、1日2本、週で10本程度しかできないのがこの仕事。この「10本/1週間」といのが、実は声優の限界仕事量なのです。つまり、毎クール10本の仕事をするのが限界ということになります。実際は、毎クール2、3本メインでやっていたら十分に生活できます。それだけやっていれば別の仕事も入りますので。ということは10人もお得意様がいれば、十分ということになります。(「大塚明夫の声優塾」より引用)

この世界を目指せば誰もが芸能関係の仕事だけで生活していきたい!と思うでしょう。が、ではどのくらいの量をこなせばそれが可能なのか、知っている人ってもしかしたら少ないかもしれません。その一つの指標を示したのが上の文章。

声優の場合

ちなみに「声優」の場合はランクというものがあります。最初の3年間は「ジュニア」という所から始まり作品一本につき15000円だそうです。ここで注意してもらいたいのが作品一本です、一話ではありません。

運良くこのランクで主役を射止めたとしても15000円です。逆に一言、喋るだけでも変わらず15000円です。台詞量での変動はないということですね。

この「ジュニア」と言われる3年間は間違いなくバイトをしながらの活動になる事でしょう。

新人期間を終えると「ランカー15」と呼ばれ、今度は出演作品30分の尺につき15000円と報酬は上がります。そこから経験年数と共に16、17と一つ数字が上がり千円、報酬がアップします。最高で45000円まで上がるそうです。

「ランカー15」の声優さんがワンクール分(12話)の出演ができれば、

15000円×12話という事で=18万円という事になるわけですね。

まだ最低ランクでも18万円か〜と意外と多いと思うかもしれませんが、

ワンクール=3ヶ月ですからね。月収ではないので勘違いなされぬように。月収換算なら6万円です。誰でもやれるバイトで月6万稼ぐなら時給千円前後の仕事を一日7時間、月に9回出れば稼げます。

さらにワンクール全ての回に出演できたという事は「主役」でしょう。主役、台詞量もそれなりにある責任ある立場で、重圧もそれなりの中、やっとの思いでこなしても、バイトに置き換えると月にたった9回働いた分のお金しか入ってこないのです。やり甲斐はあってもちょっと寂しいといったところでしょうか。

さらにここから映像ソフトで発売されたり、ネットでも配信されると「転用料」というものも支払われます。テレビ、映像ソフト、ネットの3メディアで展開されたら収入も2倍ちょいくらいになるそうです。ここは単純計算2倍という事にして36万円になりましたが、それでも月収換算で12万円です・・・。

この内訳をみてようやく納得できると思います。ワンクール(3ヶ月)で2、3本メインでやれば十分に生活できるという意味が。さらにここでは全員に好かれる必要はないという事にも触れています。これは人生においても心得ておくべき事ですよね。生きていれば自分を嫌いになる人が出てくるのも当然なことで、あまり気にする必要もないのです。

話は戻り、全話出ずっぱりの主役をワンクール毎に3本も掴み取れば54万円になりますので、そこまでやらせてもらえるくらい業界から信用されているなら他の仕事も舞い込む事でしょうし、ここまでやってようやく普通に働いている人よりは余裕のある生活ができるかな・・・程度なんですよね😓

しかも恐ろしいのがこの作品出演がアニメならワンクール12話で終わる事も珍しくありません。もう昔と比べると1年間放送されたアニメなんて少なくなってきていますしドラえもん、クレヨンしんちゃん、ちびまる子ちゃんなどの長寿アニメはもう出てこないかもしれません。

つまりまた新しい作品の出演を、できればメインキャストで掴み取らなければ、この収入を維持する事ができないという・・・これが一時期はすごい人気あったけど今は見なくなった人が出てくる原因だと思います。20代前半から活動をスタートさせたとして定年と言われる60代までこのペースで出演し続けるなど強靭な精神力と、よほどの芝居好きでないとまぁ、無理でしょうね。

経験を積めば単価が上がるので多少は本数が減っても良いと思うかもしれないが、そうなると今度は予算の都合上あまりランクの高い声優さんは使えないという事情も出てくるのです。わたくしが尊敬する声優さん「野沢那智」さんもランクが上がったら仕事が来なくなったと言ってました💧

このように声優とは作品制作の一部に協力したに過ぎず、いくら何かの作品出演をきっかけに人気が出ようがその作品が終わってしまえば収入は減るだろうし、あまり不労所得と言えるようなものを手に入れる事はできないんですね。だからどんなにベテランの域に達しても何かしら出演し続けなければいけないのは別冊「声優魂」で語った通り。

このランク制も一番上までいけばフリーランクというのがあり、芸能人と同じようにギャラの出演交渉ができるようになるみたいですので、

俺を出演させたければ一千万出しな」と単価を跳ね上げる事も可能になるのでしょうが、そこまで強気の態度に出られる存在になれるのはどれだけいるのかと考えればあまり現実的ではない。

となると、まとめれば毎月、週に2、3回は何かしらの仕事があれば「声優」だけの仕事でなんとかやっていけるのではないかというところですね。

じゃあ俳優の場合は?

俳優の場合は声優と違ってこれっというギャラは固定されていないので、もっと厳しいかもしれません。もちろん知名度、人気が申し分ない人であれば何百万、何千万のお金が動くのでしょうが、それは今でいう米倉涼子クラスの人物だけです。

コネもなく、スカウトされたわけでもない、ただ真面目に演技の勉強をしてきただけの人はどうなのかというと本当にバイトした方が楽だし、稼げるよという場合がほとんどです。

わたくしが初めて仕事をしてもらった報酬は3千円です 笑

この時はまだ所属が決まっていない研修生時代で、事務所からの計らいで一つの経験としてお仕事をいくつかもらったという経緯なのであまり報酬の額は気にしていなかったのですが、こんなもんですよw

内容は〇〇テレビへと赴き、ある番組収録でエキストラをやってもらうというものでした。(厳密に言えばさ○らですw)

他にもロケ弁だけでお願いしますという撮影もありましたし、要は研修生程度でギャラが貰えるとは思うなっていう待遇でした。

その映像は地上波で、山手線の車内に設置されてあるスクリーンなど街中でも流れたCMでしたが、メインキャスト以外のところにお金はあまり行き渡っていないのが現実です。

そんな中で一番高額な仕事だったのが日給2万円という撮影のお仕事。撮影時間は確か6、7時間程度だったので時給で換算すれば約3000円です!

おぉ、これは高いと思いますよね。時給3000円の仕事など一般の仕事でもそんなにあるものではありません。依頼主も大手食品メーカーで、そのCM撮影だったので資金力があり、良心的な会社なら名もなき俳優にもそのくらい出してくれるのでしょう。

ここまでは撮影での報酬でしたが、じゃあ舞台は?というとここは別記事で何度か書いてきた事ですが基本ノーギャラです😱

多くは自身の宣伝でチケットを売った枚数、チケット料金の数十パーセントがこちらに入ってきます。俳優としてやっていくにはファンを増やせとはこの仕組みだからなんですね。

もう今ではだいぶ前にギャラが公演数×数万円というオーディション情報も見た事あるのですが、それでも一ヶ月真面目にバイトをすれば稼げる額だったと記憶しているので、本番までの稽古期間を考えれば高い報酬ではなかったと思います。

で、舞台というのは稽古開始から本番終了まで一ヶ月と半月はかかります。しかも体力的にも精神的にもすんごいきついです。何度か経験させてもらった身といたしましては年に2回くらいでお腹いっぱいと思うくらい濃密な時間を過ごします。

現にどこの劇団も年に2回くらいしか公演は行っていないので、舞台に立てる機会は劇団に所属していたとしても一年間で片手で数えられる程度だと思います。その程度の回数で一年間生活していけるだけのお金が稼げるかと言われると、よほど興行として成功する見込みのある舞台じゃないと無理でしょうねw

1公演あたりの動員数が千人前後であったり、グッズ販売もあったり、一番良い席だと1万円する席であったり、このくらい豪華な舞台で公演数も多ければといったところでしょうか?

ここまでをまとめると舞台で稼ごうと思わず拘束期間が短く、日給で2万前後貰える撮影の仕事が月に10回くらいあれば生活できなくもないってとことですかね・・・?

そんなに毎月、毎月、普通のアルバイトみたいに撮影の仕事なんて来ないって!😅

仕事を求めている人数に対して仕事の枠は少なすぎるので年間通してまともに仕事が来る人はほぼいないとはこれまでも書いてきた通り・・・(1万人に対して枠は数百しかないような状態、つまり9千人以上は仕事が来ないのです)

 

まとめ

いずれにせよ俳優・声優の仕事だけで生活したければ毎月、ギャラが2万円前後で週に2、3回くらいのペースで仕事があるか、自身の出演単価がとんでもない値段でない限り無理だろうと言えて、そんな自分だけに都合よく仕事など来るわけがないという事情もあるので、やはりこの世界で生き残っていくのは相当厳しいと言えると思います。

この状況を打破するにはやはり他者に依存せず俳優・声優は「個人事業主」という自覚を持ち、自身で売る商品を考えて、自分で宣伝して売り、ファンを増やしていく、「自分一人でお金を稼げる」力を身につける必要があります。

まだYouTuberとして成功する事を目指した方が現実的かもしれませんし、少なくともそのYouTubeなどの広告収入も収入の柱として持っておくのが良いかと。

だからこ界隈の人も「ビジネス」の勉強をするか、そのような専門知識を持った人からアドバイスを貰う必要があると言えるのです。

世の中のサラリーマンが週に5日、8時間以上働いて生活費を稼いでいるのですから俳優・声優だって時間は短くても毎週のように働くか、それ相応の価値あるものを提供しないと世の中の道理としておかしいという事ですね。

一見「楽しそう」に見えるこの世界も甘くはないどころか、普通に働くよりも厳しいという事を理解しましょう。

引用・参考にした著書↓

コメント

  1. […] この記事でも書きましたが→「俳優・声優の仕事だけで生活するにはどのくらいの量をこなす必要がある?」 […]

  2. […] ギャラに関する内容はこちらの記事を参照→「俳優・声優だけの仕事で生活できる量は?」 […]

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