演劇を仕事にするって難しい・・・!

演劇コラム

2022年も今日で最後になりました。

ここまで「演劇・エンタメ×ビジネス」をテーマに様々な内容の記事を書いてきましたがそこで思うのはタイトルの通り・・・、

「演劇を仕事にするのは難しい・・・!」

の一言に尽きるということです。こんなビジネスとして成り立たない世界を目指していたことに今更ながら愕然としましたね・・・😓

それを象徴するかのように、ある日、大きい商業施設内を歩いているとそこには楽器屋がありました。楽器屋の目の前を通り過ぎる時に見覚えがある人物が・・・。

よく見てみると専門学校時代にミュージシャン学科に在籍していた同期かもしれないと気がつきました。

そこでふと思いました・・・ちょっと羨ましいと 笑

なぜかというと音楽、ミュージシャンも演劇と変わらずプロとして活動していくには大変、厳しい世界で殆どの人は音楽活動だけの収入で生活していくことはできないことでしょう。

しかし、それでも音楽ならこうしてステージに立てなくても楽器屋で働くという選択肢もあると分かり音楽、楽器が好きならそれはそれで悪くない人生なんじゃないかと思ったからです。

そう考えると音楽は他にもあります。例えばライブハウスのスタッフとして働く。私、ライブもそれなりに観に行く方なのですが会場によってはアルバイトスタッフを募集している貼り紙を見かけます。この場合は主にドリンクをお客さんに渡す作業をすることになり、働きながら音楽シーンを肌で感じることができる職場なのでこれも音楽が好きな人ならやってみたいと思うことでしょう。

実際に音楽活動だけでは生活できないインディーズの方がよくこのポジションで働いているはずです。

では対して『演劇』という分野ではどうか?

残念ながらそういった身近にある商業施設に演劇を感じられる場所というのはありません。強いて言うなら映画館ですかね?しかし、じゃあ売れない俳優が映画館で働きたいかと言われたら作業内容としては要は飲食店と変わりないと思うので、あまり俳優志望者がやりたがる仕事ではないと思います😓

演劇関連の商品として一応、舞台メイクで使うことを想定した商品というものを取り扱っている所がありますがもちろんそんなお店はごく限られた場所です。

なら、劇場で働くことはできないのか?

これもライブハウスであればアルバイトを募集しているのはそんな珍しくないのに対して演劇を行う劇場では私は見たことがありません。

劇場ではどんな仕事が求められるかと言われたらロビーでの受け付け、チケットの確認、当日券の販売や会場内での席の案内だと思いますがこの作業は基本的にその舞台を企画した劇団なりの組織が用意した人でやる場合が多いです。

劇場を使用する際のオプションとして劇場側がこれらのスタッフを用意するというのを見たことあるのですがもちろん追加で料金がかかります。多くの劇団・団体はお金がない所が大半なのでこのオプションを使うことはあまりないかもしれません。

むしろこういう劇場内でのスタッフはボランティアとして企画者の知り合いや親しい人にお願いして1日でも良いから、日替わりでやってもらうのが少なくとも小劇場界隈では当たり前かもしれません。劇団であれば今回は出演者ではない劇団員が務めることでしょう。そこに報酬があるのかはそれぞれのような気がします。

私も何度か頼まれてやったことがありますが、アルバイトとしては本番が始まってしまえば待機しているだけなのでそんな大変だとは思いませんでしたので、これでアルバイトを雇うというのは確かに気が進まないかもしれません。

そんな劇場スタッフとは比べものにならないくらい大変な作業があります。それが資材の搬入からの仕込み・全公演終了後のバラシ作業。これに関してはもはや工事現場のような喧騒の中での作業ですので、この作業に協力してくれた方には決められた報酬が与えられる劇団があるのを私は幾つか知っております。

これも経験がありますが、ほんと慣れないうちは(今でも慣れていないけど💦)何をしていいか分からず右往左往します。なんで今まで教えてもらったことがないようなことをいきなりぶっつけ本番でやらないといけなんだと思いましたね〜😅

と、まぁ、ここでステージに立てない俳優でも演劇に関連する職場としてこのような裏方スタッフが登場しました。これも実際に俳優としてはやっていけないと痛感した人が、でも演劇には関わって生きていきたいと裏方スタッフに転身した人がいるとはよく聞きます。

が、同時に何度か経験したけどもう二度とやりたくないと思う人もいます。

それは大変な作業だからではなく、自分は本当は舞台に立ちたいのに裏でじっと見ているだけなのが耐えられないといういわばプライドの問題からです。

おそらく自身が出演者であれば喜んで手伝う人の方が多いです。やはりお金がない所はこういう作業も出演者が兼務していることがあるので。だけど、裏方スタッフだけならやりたくないということですね。

なので少数ながらいるとはいえ、それでも基本的には売れない俳優がやりたがる演劇関連の仕事にこの裏方スタッフを選ぶという人はあまりいないというのが私の思うところです。

最初に挙げた楽器屋であればステージに立つ人を裏で間近で見るなんてことはないですし、何より今まで勉強してきた楽器の知識や経験を生かすことができる仕事と言えますので裏で支えるにしてもこれは大きな違いでしょう。

近所には小さなピアノ教室があります。最寄りの駅前にも音楽教室があります。なら同じように演技を学べる場所が近くにあるか?と言われたらなくはないでしょうが、なかなか見つからないと思います。

プロになるつもりはないけど楽器を弾けるようになりたいという人はたくさんいます。私の友達にも楽器を趣味にしている人は何人かいます。演劇はどうでしょうか?プロになるつもりはないけどお金を払って演技を学びたい人はどれだけいるかのか?

何が言いたいかというと、

どれだけ普段から身近に感じられているか?

学校教育でも小学校から『音楽』という授業があるように多くの人々のにとって音楽はとても身近な存在として人生を生きていくと思います。

演劇は学校では授業がないし、部活でも力を入れている所はあるだろうが演劇部がない所は珍しくない。音楽なら吹奏楽部や軽音部などはけっこうありますよね。

先ほどプロになるつもりはないけど楽器を弾けるようになりたい人はたくさんいる、と書きましたがつまりその需要に応えるために教える人が必要になります。ここでも一般の人に指導する、そんな仕事も存在することになります。

が、演劇はきっと『プロになるつもりだから』という動機で演技を学ぶ人の方が多いので母数は音楽より減るはずです。演劇は指導者の人数はそこまで必要ないってことですね。

今まで何度も『音楽』と比較して記事を幾つか書いてきましたがやはり色んな面で音楽の方が最初から親しみやすい、演劇より稼げる土壌が出来ているのです。

稼げる、という点では音楽はライブを行わなくても楽曲を制作してそれをインターネット配信で販売すれば、YouTubeにミュージックビデオを上げれば、そのクオリティが高ければたとえメジャーにはなれなくても週に2、3回くらい軽くアルバイトをした金額くらいは稼いでいる人ならけっこういると思います。

演劇の場合、そのお小遣い程度なら稼げている、それすら厳しいくらい稼ぐのは難しいです。楽曲制作のように一人でも、自宅でも商品を作ることが可能な手段は基本的にありませんから。

音楽なら路上で、駅前で一人で演奏しても投げ銭してくれる人がいるかもしれない、でも演劇はそんな身軽なことができるか?

俳優は厳しい、ほとんどの人が稼げないとは言いますが、それはなぜかと言われたら本人の努力が足りないとか以前に一人では何もできない、大勢の人を集めて大きな組織を作り上げないといけないから動けるまでに時間がかかる上に、そこまでして必死に労力を費やしてもその作品がヒットするかは分からない、かけた時間、コストに対して見合った儲けがあるか分からない極めて博打な世界だからなかなか演劇では稼げないゆえんでしょう。

だから一回のアクションで大きく稼いでいかないと割に合わない、

総じてあらゆる角度から見ても『演劇』を仕事にするってやっぱり難しい・・・!

とこの分野をビジネス視点で見た時に痛感しました。

俳優や声優になるために演技を学ぶ学校や養成所はそれなりにあるので誰でもお金さえあればそこに通って自分は俳優に。声優になるための一歩を踏み出したと思ってしまいがちですが、その技術や知識を身につけてもそれを生かしてお金を稼いでいけるかはまた別問題だということをこれからこの世界を目指す人にはしっかり認識してほしいと思います。

 

 

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