【今年のエンタメ業界は】これまでの価値観が大きく変わるような激動の年であった。

演劇コラム

今年も残り僅かになりました。
この2023年のエンタメ業界を振り返った時に、今年はタイトルの通り従来の価値観が大きく変わってしまったような年ではなかったか?と思いました。

1、インボイス制度の導入によりそれなりに有名な作品出演の実績ある現役声優が涙ながらにこれでは廃業を検討しなければいけないと訴える。

2、旧ジャニーズ事務所、前社長の性加害発覚によりジャニーズの名前が消滅。

3、宝塚歌劇団の劇団員が飛び降り自殺。これにより劇団内での暴力、過重労働が習わしのように発生していたかもしれない実態が世に広く知られる。

残念ながらどれもネガティブな話題ですが、この問題をビジネス視点で見た時に浮かび上がるのは、

このエンタメ業界もやはりコンプライアンスもくそもない、立場の弱い末端の演者を極端に安くこき使い一部の人間だけが得をするような世界であったということ。

ただしパワハラ、性被害、このような不祥事は他の業種の企業でも度々、起きていることですしそれがただエンタメ業界でも似たようなことが起きていただけとも言えるわけですが(それでもこの産業は人様、第三者に観られてなんぼで公共の電波も使わせてもらっていれば同じ不祥事でもエンタメ関連の方がイメージダウンによるダメージはでかいです)、

これまでこのような問題が発覚した場合は、

やっぱり聞いたこともないような事務所を信用したり、いきなり街中で声をかけられてもホイホイ付いて行っては駄目だね、

或いはタレント個人がやらかしてしまいその人は芸能界からさよなら、

その類いの話でした。
それとは訳が違うのはやはり個人ではなく、興味がない人でも名前くらいは知っている『ジャニーズ事務所、その前社長』『宝塚歌劇団』という大成功をおさめた日本を代表する巨大エンタメ団体、組織そのものでさえこの有り様であったという衝撃です。

ビジネスとしても大儲けをしている両者です。
その成功の裏にはまさに闇を抱えていたというのはこの事ではないでしょうか。

この二つの事務所、劇団がこんなんならもうどこの事務所、劇団も似たようなもんなんじゃないの!?と疑心暗鬼になってしまいます。

そしてアニメやゲームの影響により子ども達が憧れる仕事である『声優』という立場の人はあまりにも安いギャラで働いており、インボイス制度の導入で余計な作業が増えるとかの不満ではなく根本的に「声の仕事だけでは生活できなくなる」と真っ先に挙がるくらい厳しいものらしく、これまた全国区のニュースになりこの世界に興味がない人にも広く知れ渡りました。

パワハラ、性被害、倒れるくらい働いてようやくギリギリ生活できるくらいの低賃金・・・、

これらを許してしまったのはもちろん使う側の意識に問題があったのは当然ですが、使われる演者側にも都合の良いように従ってくれる土台があったからこうなってしまったのは否めません。

この世界に入りたい人、憧れる人というのは『どこかしらの事務所に所属してお仕事を貰う』という認識でおりました。

あとは自身が良いパフォーマンスが出来るように演技、歌、ダンスを学ぶ、それ以外のギャラなどの待遇の交渉、事務的な作業は頭にはない、いわば事務所という存在に対してあまりにも信頼し過ぎていた側面がありました。

が、世の中はそんな善良な人ばかりではありませんでした。特にこのエンタメ業界は搾取してやろうという欲深い人が多い印象が今はあります。

さらに対象にしているのがまだ社会をよく知らない、労働の経験も浅い学生の年齢の方達です。これでは悪い大人達のいいようにされてしまいます。

事務所と演者・タレントの関係性、

ここにもクローズアップされました。

事務所と演者のギャラの取り分があまりにも不公平(演者側に行き渡るギャラが少な過ぎる)、

事務所を退所しようものなら数年間は芸能活動禁止など脅された、

名目、契約上の関係性としては個人事業主(演者)と業務提携を結ぶなのにその個人事業主側に裁量権がないに等しい、これではまるで雇われている関係性ではないか

はい、日本の芸能界って事務所側があまりにも力を持ち過ぎているのではないか?という点にも注目されたということですね。

この実態を『奴隷契約』を称する人もいました。

現にこれで事務所との関係性は雇用関係に等しく契約違反による違約金を払う義務はないという判決も出ています。(参考記事↓)

芸能界で横行する理不尽な契約・元アイドルメンバーを「労働者」と認める判決

さらには力のある事務所はキャスティングにまで口を出して起用したかった人が起用できないと歪めてしまっている例もある、、、。

旧ジャニーズ事務所が新しく立ち上げた会社もこれを見直そうと思ったのかマネジメント契約からエージェント契約に切り替えており、これからは演者が主体性を持って活動してもらうという方針を打ち出しました。

このように、これからは演者、タレント側も事務所の言いなりばかりはになりませんという意識で目指さないといけないんじゃないか?そんな時代になってきている兆しだと思います。

事務所が色々とお世話をしてくれるならそっちの方が楽だし、自分はやりたいことだけをやりたいという気持ちもあるとは思いますが、それが当たり前だった事によってどれだけのタレントが痛い目をみたかってことですね。

活動方針やらを事務所に委ねてしまったことによっていつの間にか不本意なイメージが付いてしまっていた、このままの流れでいくなら続けるのが難しいかも・・・なんて内心、思いながら活動するのはさぞ苦しいと思いますし、

その売り出したキャラでの旬が過ぎたと判断されたらもう使い捨てのように相手にされなくなったなんて事態にもなるかもしれません。

良い事務所、マネージャーに巡り会えてそれで上手くいった人もいると思いますが少なくとも、
自身の活動方針という重大な決定事項を決める人はどれだけ信頼が置ける人物、事務所なのか?を加味すればそんな風に任せられる人、所ってそうそう巡り会えないもので、そっちの方が稀だということはある程度の人生を生きていけば分かってくることだと思います。

ならもう信じられるのは自分だけ、自分の力で道を切り開いて行こうと決心して再スタートを切った人も大勢いられると思います。

それによって問合せの対応やギャラの交渉など自分でやるべき事が増えるわけですが、そもそもこれまでの常識がおかしかったわけで、出演者自身がギャラに関する話に加わることができない、来たお仕事を受けるか否か吟味させてもらえることなくやらせる、まるで出演者を動く人形のように扱っているという見方もできますよね。

そんな事務所に何もかもお任せ!という習慣からの脱却、これをすることによって演者自身にも自主性が生まれて許容できないおかしな事に遭遇したらNOと突きつけられる人材がどんどん出てくるのではないでしょうか。

そんな人を「生意気な奴」と評価されて干される恐怖もあったのでしょうが、ここまで世間に注目される事件にまで発展したら一般人の意識にも、あんな事があってちゃんと是正されているのか?という厳しい眼でこの世界を見る人も増えてきていると思います。

旧ジャニーズ、宝塚のファンは全国にたくさんいます。そのファン達が現状、胸を張って他者に好きなんです!と言いにくいのも憂うべきことです。

これを契機にこの世界も健全化されることを願いますし、我々一般消費者は直されないなら観ない、お金は落としませんと見切るをつけることによってそれを促すべきではないでしょうか?

これからこの世界を目指す人であれば特にこの意識を忘れずに新しい時代、価値観のパフォーマーになってほしいと期待しています。

では今回は以上になります。今年もありがとうございました。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました